Oversight (ページ27)

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「飲み物とかポップコーンとか買う派？」

「別に気にせんけど。」

「私は飲み物だけ欲しいから、ついでに買ってくるよ。
何がいい？」

「同じのでええわ。」

1人が寂しい。
それは事実なんだろうと思う。
でも私が丈一郎を誘うのは、寂しさの埋め合わせとかそんなものじゃなくて、

「はい。ジンジャーエール。」

「…そっちは？」

「同じだけど？私が飲みたかったやつ。」

「そうか。」

きっと特別だから。
この気持ちを形容するには、この言葉がぴったりだと思う。

誰かを呼ぶなら1番に浮かぶのが丈一郎。
それが必然で、特に理由は無くて。
まるで昔から一緒にいた幼馴染のような存在。

それを彼は、良く思っていないのだろうけど。

「先に言っとくね、私泣くから。」

「…笑えばええ？」

「逆でしょ。「めっちゃ良かったな。」って共感してくれたらいいから。」

「フリ？」

「関西じゃないのでそのまま受け取ってくださーい。」

でもこれが前と違うものだということに
私も気付き始めていた。

「ね、ちょっとチケット出して。」

「ん、」

「そうじゃなくて手出して。はい、撮ります。」

「それ撮って意味あるん。」

「記念！」

だから案外
人ってちょろいんだと思う。