Oversight (ページ25)

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「ん！美味しい！」

綺麗な景色が見えるレストラン。
真っ先に目に入ったそこは、大橋と被っても譲る気は無かった。

普段は居酒屋やし。
ちょっと空気感を変えて
ちゃんと答えを聞くつもりやったけど。

…まぁ、ええか。

「丈一郎も食べなよ。冷えると勿体ないよ？」

「あぁ。」

花より団子っていうか。
景色には目もくれず料理ばかり見る彼女を視界に入れた。

俺にとっては当たり前やけど
他の奴は知らん顔。

その優越感だけが今の自分を抑えてることは
もうとっくに自覚していた。

「…なぁ、」

「ん？」

「合コンは、行かなあかんのか、」

人は欲深い生き物で。
欲しいものが手に入ると、次々と欲しいものが生まれる。
まだ手に入れたわけちゃうけど。

さっき、
俺を見る目が今までと違うような気がした。
小宮が大橋に向けるような、
勘違いしてしまいそうな目。

それを俺だけのものにしたくなった。

「…あ、いや、別に気にすんな。」

零れたそれが独占欲やと気付いたのは
その手が止まってすぐのことやった。

「丈一郎が思ってるほど行ってないよ。あ、そういうことじゃないか。

えっと、
飲み会に行きたいだけ、なんだよね。
相手探しというより。」

なら、

「俺、誘えばええから。」

それが無理矢理取り付けた、約束。