Oversight (ページ24)

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「恋、したくないわけじゃないんだよ？
憧れはあるし、いつかはって思うけど。」

適当にしすぎた。
好きでも無い人と付き合ってみたり、
出会いの場に色々行ってみたり。

一般的に言う"イケメン"とか"良い人"とか
そういうのは分かるようになったのに
肝心の"好き"って気持ちは分からないまま。

「出来るのかな、って。」

今までのように安易に手を出して
丈一郎が離れてしまうのが怖い。

そんな私の一方的な話を黙って聞いていた彼が
ようやく口を開いた。

「離れへんわ。」

「…え、？」

「振られても俺は、お前と同期やし。」

「まぁ。」

「別に今は"居ればおもろい"くらいでええし。」

離したくないのは、
こういうところなんだと思う。

こんな話をしても変に踏み込んだりせずに
ぶっきらぼうな言葉で受け入れてくれるところ。
それでいて優しさが隠れてる。

「…そのうち好きにさせたるわ。」

その赤くなった耳がちらりと覗いた時、
今までに感じたことのない気持ちに触れた気がして
思わず目を逸らした。

こんな人だったっけ。
よく言うフィルターがかかったというやつ？

そうだとしたら
その理由は、この澄み渡った青を反射した海のせいだ。