Oversight (ページ22)

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「じゃあ、まずは海に行きまーす！」

せっかくの旅行なら楽しむが勝ち！
考えたくないことを取っ払おうと思ったら
旅のしおりなんてものを作っていた。

後ろで冷ややかな視線を感じたけど気にしない。
パリピでいいですよ、全然。
皆といるのが楽しいんだから。

もうそろそろ大橋くんに報われて欲しくて
"シークレット"という名の2人きりタイムを作った。
ちょっと安易なネーミングだったかもしれないとは思うけど。

「ほら、話しておいで。丈一郎と交代してきていいから。」

「はい！」

元気に後ろへ下がっていった彼の代わりに
少し不機嫌そうな丈一郎が隣に来る。

「はしゃぎすぎやろ。ガキか。」

「ガキで結構！こういうのは楽しまないと後悔するの〜」

少し先を歩く私の腕を掴もうとした手が
ギリギリのところで引っ込められた。

どうしたらいいか分からないのは、お互い様だ。

「くれぐれも大橋くんの邪魔しないように！」

「別にしてへんやろ。」

「背中押してあげてって意味。」

「…」

じゃあ、俺は。

音になってないはずの声が聞こえた気がして
思わず振り向いた。

「後輩の面倒見るのは、先輩の仕事なんだよ。」

「じゃあお前は早く先輩になれ。」

「今日はムリ！」

時々見せるその寂しそうな顔。
その原因は私だと分かっているのにどうしようもない。
このもどかしさだけが、いつも邪魔だ。