Oversight (ページ20)

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合コン。
口癖のようになったその言い訳は
未だに直らないままだった。

5回のうち4回は嘘。
定時ぴったりに帰って、ゴロゴロしながら漫才の動画を見て。
それを丈一郎と共有して。

残りの1回はちゃんと相手探しをしに行っている。
本当の恋をしてみたい、なんてどこかのヒロインを夢見て。
でもそれも上手くはいかないものだ。

「尻軽女を好きになるとか、バカでしょ。」

開いたままのトーク画面に呟く。
まるで画面の向こうの相手に八つ当たりをするように。

"新しい動画見た？"

「えっ、」

開いていたせいですぐに付いた既読。
完全にやらかした。

これは返さないと催促されるやつだな。

はぁ、と1つ溜め息を吐いてから
キーボードをタップする。

"見た。今回も天才。"

"よな！あのツッコミのタイミング絶妙やわ。"

まるで何も無かったかのような口調。
それに何となくもやもやして、手が止まる。

「気にしてるのは、こっちだけ？」

それとも、本当に無かったことにしたいのだろうか。

"あのネタなら大橋くんと丈一郎で出来そう"

"いや、大橋にはまだ早いわ"

"自分は否定せんのかい"

"お前との方がええわ"

「…なにそれ。」

そう。
このせいで
うやむやになったまま
触れ方が分からなくなってしまったのだ。