Oversight (ページ12)

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「…マジか。」

遠出してまで酔い潰れるんか、コイツは。

あまりにも無さすぎる危機感に呆れる。
それと、失望感。

どんだけ意識されてへんねん、俺は。

いくら目の前で溜息を吐いても
当の本人が気付くことは無いし。

…ほんまは、同期会で話す前から。

誰とも親しくしてないって感じやったから
1番になろうと思って話しかけた。
そしたら、親友ポジションのまま相手にもされへんくなって。

他に大事なヤツがおるっていうなら
このままでもええと思ってたけど。

「おらんのやったら、俺でええやろ。」

この言葉さえ届くことはない。

「すいません、お会計で。」

「兄ちゃん、家近いんか？」

「いや、東京から来てて。この辺にホテルとかあります？」

「出てすぐのコンビニの角曲がったとこにあるで。
姉ちゃん寝とって残念やな。」

「…同僚なんで。ほんまにそういうのちゃいますよ！」

「でも好きなんやろ？見とったら分かるわ。」

店のおっちゃんにまで揶揄われて
何とも言えん気持ちのまま、ホテルまでAをおぶって歩く。

とりあえずどこにも寄らずに言われたホテルに向かって気付く。この辺って確か、

「…やんな、」

大きく掲げられた看板を見上げて、俺はまた溜息を吐いた。