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「えー、ありがたいことにですね、神様は私にまだ独身貴族を楽しめと仰るので。」
「やっぱ若い子に負けたんか。そりゃ残念やな。」
「いや、そもそもね、私が落としたいって思ったら後輩に圧かけて2人きりになることも出来るのよ。」
「お局か。」
勿論そんなことはしません。
というかそんなに仲良くない後輩だし。
「てかそこそこ飲んだんやろ？もうやめとけよ。」
「可愛こぶって弱いやつしか飲んでないから飲み足りないの。」
「それが仇になったんちゃうの。」
「すいませーん！日本酒くださーい！」
"いつもの"ジンジャーエールのグラスを傾けながら
呆れたようにこちらを見るコイツは私たち同期の世話係だ。
せっかく解散したなら帰れば良かったのに。なんて
この後送ってもらう身としては言えるわけもなく。
なんならそれに甘えてハイペースで飲んでしまっているのも事実。
「おい、車で来てへんぞ。」
「あー、そうなの。まぁいいや。」
本当に好きな人がいたのなんて
いつが最後だろう。
ジンジャーエールのグラスの中で音を立てる氷を見ながら
ふと、そんなことを考えた。
何かに焦っているのは、私の方なんだろうか。
「あ、明後日、試合見にこん？」
「なんの？」
「お前…野球に決まってるやろ。」
「気が向いたら、ね。」
「大吾に断られんかったらチケット余ってへんかったんやからな。」
「西畑くんお肌真っ白だもん。わざわざ外出ないでしょ。」
「スタジアム天井あるからな！？」
馬鹿馬鹿しい話をされるせいで
そんなことを考えなくて済むのも、事実。
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作者名：ユキ | 作成日時：2023年9月24日 15時
