夕空に映える

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佐久間「おまたせ！」








渡辺くんと深澤くんが先に帰って、私1人の玄関ホール。



表情や空気は犬のようなのに遅い足で走ってくる大介くんに、思わず笑みが零れた。








佐久間「えっ？なに？なんでそんな可愛い顔してるの？」


A「速そうなのに、やっぱり遅いなと思って。」


佐久間「急な悪口！？」








靴を履きながらボソボソ何かを言っている大介くんを横目に、鞄の中から包装したプレゼントを出す。



どうぞ、と差し出せば、大介くんは一瞬固まって、すぐに嬉しそうな顔をした。



中身はチェックのマフラー。



蓮曰くド定番らしいけど、最近寒そうにしている大介くんにはピッタリな贈り物だと思ったのだ。








佐久間「ンッフフ、もふもふ！」


A「似合ってる。」


佐久間「めっっっっっちゃ大事にする！」









ピンク色のマフラーに顔を埋める彼。



最近染め直したという黒い髪によく映える。








A「…春、」


佐久間「春？」


A「大介くんには、春が似合うね。」








彼と春を共にしたことは無いから、想像しか出来ないけど。



春ならではの暖かな陽気と風に吹かれてはらはら散る桜が彼には良く似合うと思った。








佐久間「俺もAちゃんは春が似合うとおもう！」


A「私もですか？」


佐久間「来年も再来年も、これから来る春が楽しみだね。」


A「…はい。」








そっと手を取られて、優しく握られる。



冬なのに、少し暖かい風が吹いた。

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