青空に映える

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佐久間「…」








ドアの向こうから聞こえる話し声に、耳を塞ぎたくなった。



塞ぎたいのに、体は動いてくれない。



それでもドアの取っ手から手を離すことは出来るんだから、笑える。








佐久間「っ…」








今Aちゃんのそばに居るのは俺じゃない。



その現実が、俺の身を裂く。



何も出来ない俺がここにいる意味は無い。








深澤「おっ、佐久間おかえり〜。」


岩本「佐久間、ラウール達先に帰って…」


佐久間「おっ、そうでやんすかぁ。」


岩本「…佐久間？」


佐久間「ん〜？」








無理矢理口角をあげる俺に、照と、何故かいるふっかは目を細めた。



当たり前だ、こんな上手く笑えない俺をこいつらが放っておくわけが無い。








深澤「佐久間、どうしたの。」


佐久間「…」








でかい顔が俺の顔を覗き込む。



それを言えば、ふっかはいつものように騒ぎ始める。








佐久間「…Aちゃんには、阿部ちゃんがいるから。」


深澤「…は…？」


佐久間「佐久間、出遅れちゃった。」








できることなら奪いたい。



でも、元々の根暗な部分がひょっこり顔を出して、させてくれなかった。








佐久間「…Aちゃんの隣は、俺じゃなくてもいいんだよ。」








好きだよ。



好きだから、泣ける人の隣にいて欲しい。



彼女が幸せな方に。



そんなこと言って、本当はこれ以上傷つくのが怖いだけ。



ふっか達の声を振り切って、俺は学校を飛び出した。



雨が降り出しそうな空は、俺の気持ちをさらに沈ませた。

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