夜空に映える (ページ41)

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佐久間「…Aちゃん、ごめん。ちょっとだけ1人にさせて欲しい。」

A「…」

本当にいいの？

この人を今1人にして、私はどうなる？

こんなに傷ついた人が、たった1人でその傷を癒すことが出来るなんて、私は知らない。

佐久間「…Aちゃん、お願い。」

この人はきっと、どこにいたって泣けない。

1人になったとしても、それは彼を追い詰めるための環境が揃うだけだ。

怪我をしたら、誰かに手当してもらう。

病気になれば、誰かに治してもらう。

じゃあ、彼の今の傷は一体誰が治すの？

佐久間「お願い、だから。」

彼の言葉を聞く前に、私はそこら辺にあった大きなタオルを彼の頭に被せた。

何の反応も示さない彼の肩に手を置き、離れないという意思を伝える。

私以外の人が外に出た今、彼の傷を癒せるのは私しかいない。

佐久間「Aちゃん、」

いつか理央が言っていた。

理央『先輩が言う言葉って、心にすっと入ってきますよね！』

大丈夫。

私なら、彼に聞かせてあげられる。

慰め方が分からなくて、たどたどしいものになるかもしれないけど。

あなたに、必死に伝えるから。

A「…こうやってすれば、1人になったような感じがしませんか。」

佐久間くん。

お願いだから、いつものように。