夜空に映える (ページ40)

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準優勝。

その結果を聞かされた時、行かなければいけない気がした。

A「はぁ…はぁ…」

ラウール「A、ちゃん…」

自分の高校の名前が書かれた仮設テントの中には、険しい顔の岩本くんと涙目のラウールくん。

奥で俯いている、佐久間くんがいた。

その足は包帯で固定されている。

理央「ラウ！」

ラウール「理央ちゃ…っ！」

ラウールくんは理央の元へ向かう。

そんなこと気にしてられないくらい、私の頭は佐久間くんでいっぱいだ。

岩本「…捻挫。全治2週間だろうって。」

A「！」

岩本「あん時、佐久間頑張ってくれたけど…」

投げ入れられた石でバランスを崩し、大きくよろけた。

足を怪我してもなお、佐久間くんは顔に出さず、堂々と最後まで踊りきった。

石を投げられたことに気がついているのは、踊っていた本人たちと、少しの周りの人、私たち。

そしてあろうことか、その石を投げた人が属する団体が優勝したのだ。

岩本「やっぱり俺、先生に、」

佐久間「やめろ。」

A「！」

聞いたことがないくらいの、冷たい声。

俯いたままの佐久間くんの手は、白くなるほど力強く握られていた。

佐久間「避けきれなかった俺が悪い。」

岩本「んな事はねぇだろ！どう考えたってアイツらが！」

佐久間「俺が悪いの。」

岩本「だからっ…」

佐久間「…ただの、実力不足。」

彼は1度も顔をあげない。

いつも話す時は、誰に対しても目を合わせるのに。

それが彼の強がりだということは明白だった。

深澤「佐久間！」

渡辺「おい、怪我したって聞いて……っ！」

佐久間「…ごめん、今は1人にしてほしい。」

有無を言わせないくらいの、弱々しくも力強い発言。

それに逆らえず、深澤くんも渡辺くんも、岩本くんも外へ出ていった。

私は、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。