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A「ん…」
目が覚めると、外はもう赤くなっていた。
ずっしりと重い右半身。
ふわふわの少し傷んだ髪は、夕焼けに反射して輝いていた。
こんな時間まで付き添ってくれていたのか。
なんだか申し訳ない。
A「…」
さっきまでの体調の悪さが嘘のようだ。
とりあえず起き上がろうと体をあげると、ふわふわの金色の塊は床に落ちていった。
A「あ。」
佐久間「いっだぁ！！！え！？何！？地震！！？？」
A「すみません、まさか落ちるとは。」
佐久間「いたたたた…あ、Aちゃん、おはよ。」
どうやら佐久間くんは目覚めがいいらしい。
…いや、今の衝撃だったら起きるか。
軽く体を伸ばしてから、体温計を持ってきてくれた。
朝よりも下がった熱に、胸をなでおろす。
佐久間「よかったぁ、無事で…」
A「なぜ私より佐久間くんの方が緊張してるんですか。」
佐久間「にゃは。」
「帰ろっか。」と言って、私の荷物を持ってきてくれる。
何やら周りにジュースやお菓子が置かれている。
佐久間「この飴はね、ふっかから。」
A「深澤さん？」
佐久間「で、このスポーツドリンクが翔太で、こっちのチョコが照。あっ、それは翔太の幼馴染からのゼリー！で…こ、の、ココアは、阿部ちゃんから…」
A「…」
次々と渡されるお見舞い品であろうもの達。
両手で抱えきれないほどのそれらを見て、心が暖かくなる。
佐久間「Aちゃん愛されてんね〜！1人気に食わないけど……」
A「…」
佐久間「どう？嬉しすぎて踊りたくなるしょ！？って、なんちゃって、」
A「…はい…」
佐久間「えっ？」
A「すごく…素直に、嬉しく思います。」
すこし力を込めて、それらを抱きしめる。
こんなに幸せだと、この後何かバチが当たりそうだ。
A「ありがとうございます。」
佐久間「…」
人の温かさに触れられるなら、風邪も悪くない。
そう思うのは、初めての事だった。
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作者名：桜海 | 作成日時：2020年7月5日 0時
