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佐久間「やっぱりここにいた。」
ふわふわの金色の髪を揺らして部室の中に入ってきた彼は、私の頬に優しく触れた。
佐久間「あっつい。」
A「…」
佐久間「ほら、保健室行こ？」
状況が判断できないまま大きい背中に背負われて、気づけば白い天井と佐久間くんの心配そうな顔が視界に入った。
A「…なぜ…」
佐久間「佐久間さんはなんでも分かっちゃうの！」
A「…」
佐久間「…あはは。もちろん嘘。翔太からマスクしてたって聞いたから、心配でさ。用事って部活かなーと思って部室行ったの。」
いつも騒がしい癖に、今日は優しく包み込むような雰囲気の佐久間くん。
チャイムがなったのに、ずっと横にいてくれた。
A「…授業…」
佐久間「…一緒にいちゃダメ？」
A「だめ、というわけでは…」
佐久間「やった。」
本当に嬉しそうに笑うな、この人は。
毎日、毎日。
眩しいその笑顔と彼の思いやりに、私は応えられているだろうか。
きっと答えは否。
私は応えるどころか、彼にきっと悲しい思いをさせている。
無愛想で、人との接し方が上手くない自分と一緒にいたって、彼にメリットはひとつもない。
A「…ごめんなさい。」
佐久間「いーよ。俺がしたくてしてるから。」
A「そうじゃなくて、」
佐久間「ん？」
どうして彼は優しくしてくれるんだろう。
私にはそれが不思議で不思議で仕方ない。
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作者名：桜海 | 作成日時：2020年7月5日 0時
