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佐久間「Aちゃん。」


A「?はい。」








こっちを向いたAちゃんに、俺の着ていたパーカーを羽織らせる。



Aちゃんは、目を大きく見開いて、俺を見つめた。








佐久間「寒いでしょ?着てていいよ。」


A「いえ、遠慮します。佐久間くんが風邪をひいては、」


佐久間「俺暑がりなんだ。だから、ね?」








数センチの差しかないAちゃんの頭に手を乗せる。



Aちゃんは不思議そうに俺を覗き込んだ。








A「佐久間、くん?」








俺のパーカーを着て、それを落ちないように両手で手繰り寄せていて、俺を見つめる、俺の好きな子。








佐久間「…かあいい。」








ひよってられない。



彼女の弟にも、後輩にも、この愛しい子を渡すなんて、そんなことするものか。








目黒「姉ちゃーん。」


A「…」


佐久間「じゃあね、Aちゃん。また明日。」








ひとまずの、頭の悪い俺の精一杯の作戦。



そのパーカー、返しに来てね。








佐久間「…」








後ろから聞こえる目黒の声。



その声をバックに、さっきまでAちゃんが見ていた星空を見上げる。



あの星たちが、Aちゃんにはどう見えているんだろう。



そんなことどころか、好きな色も好きな音楽もなにも知らないけど。



いつか誰よりもAちゃんがわかるようになる、と。



タイミング良く流れた流れ星に、決意を示した。

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作者名:桜海 | 作成日時:2020年7月5日 0時

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