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A「そろそろ帰りましょうか。」
阿部「あ、じゃあ俺送っていきますよ。」
佐久間「いや、Aちゃん！俺が送ってくよ！」
A「いえ、弟が来るらしいので大丈夫です。」
阿部「…そうですか。」
佐久間「気を、つけてね…」
岩本「(こいつら可哀想だな。)」
そんな感じで俺たちはファミレスを後にした。
Aちゃんはファミレスの前で弟を待つらしく、深くお辞儀をして別れの挨拶を告げた。
でも、こんな時間に女の子を1人にしておけるほど、落ちぶれてない。
佐久間「俺、目黒来るまで一緒に待つよ！」
阿部「あ、じゃあ俺も、」
岩本「あー、阿部。帰るぞ。」
阿部「えっ？ぅわ！ちょ、照！何！引っ張らないで！」
照が口パクで「頑張れよ。」と言ってくれたのが見えた。
照、お前ほんとよく出来た後輩だよ！
A「あの、帰っても大丈夫ですよ。」
佐久間「いーのいーの！俺が一緒にいたいだけだから！」
言って気づく。
今の発言、だいぶ恥ずかしくない！？
え、俺やった？今やからした！？
佐久間「(…なわけないかー。)」
横にいるAちゃんは、何食わぬ顔で空を見上げている。
こんなにずっとアピールしてるのに気づかないとか、鈍感すぎ。
ふと、鞄を持つAちゃんの手が目に入る。
細くて白い、女の子の手。
殺陣の練習で出来たタコが映える。
佐久間「…」
その手を握ったら、Aちゃんはどんな顔するかな。
さすがに動揺する？
それでも気づかない？
俺がAちゃんのこと好きだってこと。
いっその事、形の整ったその唇を奪ってしまえば＿＿＿＿＿＿
A「っくしゅ…」
佐久間「！」
A「…」
何も言わず、静かに腕をさするAちゃん。
まだ夏に入る前。
その夜なんだから、寒いに決まってる。
佐久間「Aちゃん。」
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作者名：桜海 | 作成日時：2020年7月5日 0時
