溺れて、みずうみに (ページ9)

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とうとう彼を見ていられなくなって、私は窓に近づいて空を見上げる。

憎らしいくらいに綺麗な夕焼けは、別れの日にピッタリだった。

彼を呼び、2人で眺める。

そっと覗いた彼の顔には、うっすらと笑みが浮かんでいた。

彼の笑顔を見るとつられて笑ってしまうようになった私の表情筋は今日も通常運転で。

「つられ笑い？」

「つられ笑い。」

お決まりのやり取りをする。

それからしばらく見つめ合って、引き寄せられるようにキスをした。

ファーストキスは、なんの味もしなくて、ただただ胸が痛かった。

「Snow Man、頑張ってね。」

彼はこれからもジャニーズとして笑顔を溢れさせていく。

そんな彼へ抱いた恋心を、私は誇りに思った。

家に帰ってくると、途端に虚しくなる。

世界はこんなに冷たいものだったっけ。

こんなに色がなかったっけ。

違う。

亮平の傍が温かくて、色鮮やかだったんだ。

だいぶ前から分かってたはずなのに、改めて実感すると涙は止まってくれなくて、誰にも見られたくない私は自分の部屋に飛び込んだ。

亮平の声が聞きたい。

亮平の温もりに触れたい。

亮平の世界にいたい。

亮平の笑顔が恋しい。

神様。

いずれ忘れてしまうのなら、色濃く覚えている今だけ、私の中の亮平に縋らせてください。