溺れて、みずうみに (ページ31)

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彼の職業上やっぱり昼に行くのは難しくて、夜に行くことになった。

車で迎えに来てくれるという彼のために少し早く下に降りて待つ。

郵便受けをチラッと見ると、少し黒い紙がはみ出ているのがわかった。

今日は亮平との最後のお出かけなんだから、暗い気持ちにはなりたくないので、直接の確認はしなかった。

亮平は何か話したら絶対に力になろうとしてくれるから、話しちゃいけない。

いつも通り今日は楽しんで、解散したら電話番号を消そう。

着信拒否をして、部屋も引っ越して。

彼に関わらないように生きよう。

なんて考えている間に既に到着していたみたいで、急いで後部座席に乗り込む。

「ごめん、気づかなかった。」

「大丈夫。疲れてる？」

「大丈夫、楽しむ準備は万全！」

「あはは。そりゃよかった。」

「わざわざごめんね、迎えに来てもらっちゃって。」

「いいよ、俺がしたくてしてるから。」

「ありがとう。」

いつも通りに近い会話をするけど、彼がなんとなく不信感を覚えているのはわかった。

「ちょっとお母さんと喧嘩したんだ。」と言えば、心配こそすれ、それ以上は詮索してこなかった。

ハンドルを握り直す亮平の姿を焼き付ける。

もう見られないなら、今日はずっと見ててやろう。

「よし、じゃあ行こっか。」

「ブレーキちゃんと踏んでね？」

「踏むよ！」