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「_____と、まぁ、そんな感じで、コーヒーとケーキを奢ってもらって、家まで送ってもらいました。」
「ちゅーは!?」
「してませんよ。」
「やだ、なんでしないの!」
「逆になんでする事前提なんですか!」
河原井さんはうっとりとした様子で、弁当の卵焼きを持ったり離したりしている。
土曜日に会うことになったって伝えなければよかった、っていう後悔と、こうやって一緒に騒いでくれるありがたさ五分五分。
でも1人で抱え込むよりはいいのかな。
「よかったね、好きな人と次のデート♡の約束もして!」
そう。
あの後すぐ「次はいつ会おうか。」と言われ、とりあえず木曜日は1日休みだということを伝えれば、亮平もちょうど1日オフで。
まさかの丸1日亮平と過ごすことになってしまった。
「デートじゃなくて、お出かけです。」
「男女が2人っきりで出かけるのなんてデート以外の何者でもないわよ!」
「付き合ってる男女がするものをデートって言うんです!少なくとも私の中では!」
デート、という言葉を意識しなかったわけじゃない。
でもそれを意識しすぎたら亮平との距離感がわからなくなったのでシャットダウンした。
なのにこの人が悪びれもなく言うもんだから、また緊張してきたじゃないか。
「普段一つ縛りよね。」
「まぁ、はい。」
「せっかく綺麗な髪してるのにもったいない!アレンジしないの?」
正直考えた。
でも今までやったことないし、そもそも折り紙がぐちゃぐちゃになるくらい不器用な私にできるとも思えなくて断念したのだ。
「やりません。」
「やらないんじゃなくてできないんでしょ?」
「…」
「やりましょ!特訓しよ!ね、Aちゃん!」
それから仕事終わりに髪を巻く練習をさせられたのは言うまでもない。
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作者名:桜海 | 作成日時:2020年5月28日 23時