溺れて、みずうみに (ページ36)

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そんな日々が1週間とちょっと続いた。

直接話してくることはやっぱり無いけど、毎日必ずカウンターから見えるところから私を見ていた。

こんな時に限って河原井さんとはシフトが被らない。

河原井さん以外の職場の人には何も話せていなくて、誰も私を気にかける人はいなかった。

「谷山さん。」

館長にさえもビクビクするようになってしまって、不審に思われた。

「今日、妻との約束があって少し早めに上がりたいんだけど、最後の戸締りお願い出来る？」

午後はバイトの子と館長と私だけで、戸締りを任せられるのは私しかいなかったらしい。

家にいるよりはマシだと思い頷くと、館長は荷物を持って帰っていった。

バイトの子が私の様子に気づいて一緒に残ると言ってくれたけど、受験生だと疲れた顔で自己紹介をされたことを濃く覚えていたので断った。

「何があったかわかりませんけど…本当に大丈夫ですか？」

「うん。ちょっと疲れただけだから。」

「わかりました。じゃあお先に失礼します。」

控えめに手を振って帰っていく彼女。

その向こうに、私を見つめるあの人が見えて、一瞬で背筋が凍る。

急いで入口を全部閉めて電気を消してカウンターのところに蹲って、帰ってくれる事を祈った。