フォルダ２１１ ページ11
――…
そんな訳で漸く二日目。今日こそは何処にも行くなと念押ししただけあって、朝から二人っきりで通学路を歩く。
学校が近付くに連れて賑やかになってきた。眠そうだけど、特に嫌な顔もせず、Aは人混みをくぐり抜ける。
「あっ、Aちゃん、キヨおはよー」
「よぉ」
「おはよ、ヒラ君」
「Aちゃん髪の毛いつもと違うね」
「どう？」
「勿論似合ってるよ〜」
俺らと同じように器用に人混みを掻き分けしれっと隣にきたラーヒーは、俺がずっと言うタイミングを逃していた事をサラリと言う。俺より早く言いやがって！ っとこっそり睨む。
「ヒラ君は今日どうするの？」
「どうするって？」
「クラスの行事とか、役割とか……」
「ラーヒーがそんなの参加してるわけねぇだろ」
「辛辣〜。まぁそうなんだけど」
そのまま三人で登校する。先行けよつっても無駄だった。Aはヒラと仲良いんだ。と言うか、そこまで仲悪い奴を俺は知らないけども。
Aは基本喧嘩を売らない主義と言うか、ヘラヘラ流すような奴だから。
……だから余計、昨日の事が意外だったっつーか、わざわざAから挑発しに行くなんて思いもしなかった。それが俺の為って言われると、なんか。
「……どうしたのキヨ、ニヤニヤしてキモいよ」
「うっせーな、何でもいいだろ。言っとくけど、Aは俺の方が好きだかんな」
「急に何マウント？ Aちゃんあっち行こ」
「キヨちゃんが変なのいつもの事だから大丈夫だよ」
「んだとコラ」
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作者名：葵
| 作者ホームページ：https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時：2021年1月25日 21時
