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「ここやで、」
「おぉ、なんか素敵、」
「いや、なにときめいてんの、」
「えぇ、だって、」
わたしたちの目の前には高層マンションがそびえ立っている。
この地下が、その【青山組】の溜り場らしい。
マンションの横の階段を通り、壱馬がドアの取っ手を引いた。
「あっ、Aさん。」
「、北人くん、」
高層ビルを前にしてめをキラキラさせていたわたしとは違い、なにか重い空気を纏っているここ。
さつきとわたしは、そこから動けずにいた。
「えっと、」
「とりあえず、入って?」
「あ、うん。」
壱馬に言われて、わたしたちは一歩づつ前に進んだ。
こと、という音をたてわたしたちの前にコップが置かれる。
「あ、どうも。」
「、、、」
さつきは全然口を開かないし、前の椅子には壱馬と北人くんと、ふたりと同世代そうな男の人。
さつきもわたしも、あまり状況を理解できずにいると、壱馬から慎、と呼ばれていた人が口を開いた。
『えっと、まず順序だてて話していくと、』
何年か前から、この青山組と対立しているヤクザがいるらしい。
そのヤクザたちはなにかと青山組に喧嘩を吹っ掛けてきたりしていて、
いつもはやられたらそこで終わり。それから何ヵ月か経ってからまた吹っ掛けられる。
その繰り返しだった。でも今回は、なぜか青山組のことを探し回ったりもしてるらしく、
もしかしたら、壱馬の姉だということがとっくにばれてしまっていて、これから狙われる可能性があるんだとか、
さつきも呼ばれたのは、親しくしている人物もその可能性の範囲であるから。
そして結論。わたしたちの安全のため、
「お二人には、ここに住んで貰いたくて。」
「「、、、は?」」
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作者名:弥宙 | 作成日時:2022年2月3日 16時