ARIA ページ37
天井がそう高くない僕たちの巣で、
丸いテーブルに上半身だけ身を任せ、
僕は一つのボールを指先で触る。
ガラスのボールには、自分の顔が歪んで写り、見て
いて飽きない。
世「ARIA、それで遊ぶな〜。」
その時、ブースに寄りかかっていたTEKUさんが顔
を上げて、目深にかぶる帽子からこちらを見た。
颯「…なんかやる気が出ないんです。」
世「だからって、それをいじることないだろ。笑」
だって…、なんて言おうとしたら、
勇「ARIAは、LUPUSの女に首ったけってやつです
よ。」
カウンターの上に座るKARASUがサングラス越し
に、ニヤリとしながら言う。
世「は?!いや、あの子はもうこの世界にはいない
はずじゃ…?」
そう。
Aがこの世界に、もういないことは風の噂で聞いた。
だけど、自分たちで彼女に帰るよう促したくせに、
今更後悔するなんて…。
大「おいおい、俺たちには恋だの愛だの、必要ない
だろーよ。」
するとITARUさんが、自分の頭をガシガシと掻きな
がら、ブースから出てきた。
だけど、僕は目線を向けるだけで、重い体を起こす
気にならない。
大「それに、あの子が帰らなかったら俺たちの首が
飛ぶとこだったんだぞ?だから、これで良かったん
だよ。」
ITARUさんはそう言い捨てて、この部屋を出て行った。
僕が何も答えないでいると、
勇「…まぁさっ、女はいくらでもいるんだし、あん
ま引きずんなよ?」
僕の肩をポンッと叩いて、KARASUもその場を後に
する。
君にもっと早く出会っていれば、
僕が君を一番に見つけていれば、
今頃、僕の側にいてくれた?
たくさんの女性もいらない。
地位や名声もいらない。
全部投げ出してもいいくらい…今、君に会いたい。
僕も、君と恋や愛を知りたかった。
世「…ARIA。俺は悪くないと思ってるぞ。」
颯「何がですか?」
TEKUさんの声で、やっと上半身を起こす。
世「恋だの愛だの、がね。」
颯「いつか…また僕にもできますかね…?」
ボールを手のひらで転がしながら聞けば、
世「いつかできるさ。」
と、僕の頭をポンッと叩いて離れて行った。
いつか…恋や愛を経験してみたい。
でも…きっと君の面影を探すことからは、当分抜け
られそうにないや。
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みそじ(プロフ) - renさん» コメント&お褒めのお言葉ありがとうございます!! (2021年3月13日 18時) (レス) id: 6c1fcd7cbb (このIDを非表示/違反報告)
ren(プロフ) - とても面白かったで!最高でした! (2021年3月9日 14時) (レス) id: f6cfc9cab2 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ゆいなっとうさん» コメントありがとうございます!ここだけの話し、作成中は何度もMVを見直しました(^^;)笑 これからも暇つぶしに覗きに来てやってください(^^) (2020年4月6日 2時) (レス) id: c7b35b47f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいなっとう(プロフ) - 読んでいる最中に、白いスポーツカーとか、白い衣装と黒いスーツの衣装の場面が出て きて、これはもしやmvのあのシーン…?とニヤニヤ思い出しながら読んでました。最後のみんながあれ?ってなるところとても好きです! (2020年4月6日 1時) (レス) id: 93ffbdc4e8 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - nagiさん» コメントありがとうございます!また読み返して頂けて作者としてすごく嬉しいです( ; ; )更にお褒めのお言葉ばかりで恐縮です。笑 似たり寄ったりなものばかりですが、ぜひ時間潰しにでも読んでください(^^) (2019年12月22日 12時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みそじ | 作成日時:2019年7月22日 22時