ポータルの扉を叩けばー交差する時間２ー

涼太 ページ31

涼「ん、うまいなこれ。」



北「うまいっすよね！

これ、グビグビいけちゃうんですよ〜。」



涼「いや俺、介抱しないからな？笑」



北「そんなこと言わないでくださいよ〜。」




BOTの最終日から少し経った頃、北人から「飲みま

しょうと」と連絡があり、今は俺の家でだいぶ前に

北人からもらった、変わった名前のワインを開けた

ところだ。




涼「そーいや壱馬とあの彼女って、上手くいってん

の？」



北「Aのことですか？あそこは順風満帆もいいと

こですよ。」



北人はため息混じりに、ワイングラスに口をつける。




BOTの最終日、打ち上げに向かおうとしたところで

見かけた壱馬の彼女。




俺の顔を見て、ビックリした表情をした彼女の一面

を見逃さなかったけど、そんなのいつものこと。





おかげさまで、俺の顔だけ見れば気づいてくれる

人、黄色い声を上げてくれる人がいることは当たり

前となっていた。





これまで数え切れないほどの、綺麗な女優さんや、

モデル、女子アナと共演してきている。






でも、そんな女性らに負けないくらい、壱馬の彼女

に惹きつけられるものがあり、柄にもなく正直俺は

混乱していた。




涼「ラブラブなわけね。」



北「そうっすね。たまにそのイチャつきがウザイ

ですけどね。笑」





壱馬と順調か…。



自分で一途だって言ってるくらいだから、よっぽど

のことがないと…って俺は何を考えてんだ…。






絶対に手に入らないってわかっているのに、どこか

懐かしく、彼女のことが頭から離れない。






俺はそんな正体不明の自分の気持ちから、目を背け

るように、手の中にあるワインをグイッと飲んだ。





いつか…また会える時があったらその時は、その目

を少しでも俺に向けてほしい。







北「ゔっ…ちょっとトイレ借りていいですか…？」





物思いにふけていたら、急に北人が立ち上がりトイ

レの方へ走り出す。





涼「はっ？！おまっ…ちょっと！！吐くのは早くな

い？！」





これから北人に彼女のことをもっと探ろうと思った

のに、その作戦はあっけなく失敗に終わる。




その後スッキリしたのか、リビングで爆睡し始めた

北人の顔に、当てつけのように落書きをして、壱馬

のLINEに送っておいてやった。





この写真を彼女が壱馬伝いに見てくれるんじゃない

か、と少しの期待を持ってしまう俺は、君にだいぶ

重症なのかもしれない。

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