ポータルの扉を叩けば

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話しを要約するとこうだ。


この世界では生まれた時に、親から

最初にもらうプレゼントの名前をつけてもらって

も、生きていく中で必要とはしない。




なぜならば一歩外に出れば、政府の管理するタグネ

ームで成り立っているからだ。




だから生まれたら、誰がつけたかも知らないタグネ

ームを勝手に決められて、通知が来る。





だけどここで暮らすみんなは、その名前を大切に

し、忘れないためにも名前で呼び合っているのだと

か…。






「そんな…。」



陸「自分がいた世界とは違う？」




「全然違う…。親から最初にもらうプレゼントなの

に…、そんなのあんまりだよ…。」




陣「ま、これがこっちの現実なんだわ。」



陣くんも悲しそうに、ふっと笑う。





北「たぶん、まだ君がいた世界とは違うところがた

くさんあると思う。でも少しずつ知っていけばいい

さ。」




少しでも不安を取り除こうとしてくれているのか、

優しく促してくれる北人くんに、私は頷いた。






力「それよりその格好はさすがに寒いし、何か着替

えを用意しなくちゃね。翔平、案内してあげな。」




今まで黙っていた、力矢くんが気を使ってくれる。





「そうしてもらえると、とてもありがたいです。」





翔平「えぇー！僕ですかー！？

はぁ…じゃこっち、着いてきて。」





明らかにめんどくさそうな返事をしたけど、なんだ

かんだ案内してくれる翔平くん。






「ごめんね、ありがとう！」



スタスタと前を歩く翔平くんに言えば、力矢さんの

お願いですから仕方なくです、と振り返りもせずに

言われてしまった。





私、絶対厄介者だって思われてるよね…。





傷つくなぁ…。







それから翔平くんが用意してくれた洋服を、物置の

ような場所で着替える。






「着替え、ありがとう。」




そう言ってドアを開けると、壁に寄りかかる翔平く

んが顔を上げる。






翔平「…ちょっと大きめでしたかね。まぁご存知の

通り、男しかいないので仕方ないですが。」







「大丈夫、自分のよりは全然あったかいよ。」






って言ってみたものの、オーバーサイズの黒のモッ

ズコートに、黒のパーカー、黒のスキニーを身にま

とえば、いかにも最初から彼等の仲間だったんじゃ

ないってくらい見た目はボーイッシュになる。

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