一期一会 (ページ47)

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「どっ、どうしましたか？！」

私は動くこともできず、その場で健太さんに問いかけた。

健「どうしたもなにも、急に移動になっちゃっから

ビックリしましたよ～。」

「あっ、その説についてはすいませんでした。」

健「送別会、陸さん企画してるから来てくださいよ～？

あ、あと壱馬こっち来ませんでした？」

げ、ここにいますけど。とチラッと斜め下を見れば

未だ私の手首を掴んだままの壱馬さんが、無言で首

を横に振っていた。

「きっ、来てないですね～。あ！でもさっき玄関の

方で見たかもしれないです。」

健「もう～どこ行っちゃったんだよ。壱馬いないとなぁ～…。

とりあえず、ありがとうございます！」

健太さんは納得したのかなにも疑いもせず、去って行った。

完全に姿が見えなくなってからドサッと私も椅子に座り、

「どうゆうことですか？！」

壱馬さんにちょっと強気で問いかける。

壱馬さんは田上さんの椅子に座り直し、

壱「だって健太さん勝手に女と食事会みたいなん

セッティングしちゃって。

俺そうゆうの嫌いだし、そういうところに来る人も

苦手なんすよ。」

「ダメじゃないですかー！壱馬さん行かないと！」

これはマズイ。

こんなのバレたら健太さんに恨まれる。

絶対壱馬さん目当ての人来るのに！

壱「シー！俺はここにいたいからいいんです。」

そう言って、壱馬さんは田上さんのデスクに

覆いかぶさるような姿勢をとった。

「罪悪感…。」

ポツリと呟くと、壱馬さんはいーから早く仕事終わ

らせてくださいと言い、目をつぶってしまった。

って言っても、うたた寝している壱馬さんが

隣にいるだけで胸がうるさい。

なんで何も聞いてこないの？

その優しさはどういうこと？

私はパソコンから目を離し、うたた寝している

壱馬さんを盗み見みる。

壱「俺見てないで、早く終わらせましょう。」

「！！」

寝てると思ってた壱馬さんはどうやら起きていたようで。

そんな意地悪なこと言われて、顔が熱くならずには

いられない。

どうしよう、この加速する気持ち。

もう止まらない。