一期一会 (ページ43)

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～陣～

Aさんが期間限定だったのは

分かっていたつもりでも、急にいなくなると

メンバー全員唖然だった。

メンバーの中でも1番衝撃を受けていたのは

間違いなく壱馬。

一応リーダーやらせてもらってるんで、

メンバーの変化とかには気づいてしまうわけで。

だからAさんのことで一喜一憂している

壱馬のことも薄々感づいてはいた。

全員で押しかけてもおかしな話やから、

代表で俺と北人と陸くんが事務所へ行くことにした。

さりげなくフォローの意味で壱馬の肩を寄せた。

その時、

壱「俺思うんだけど…。

Aさんはドがつくほど真面目だし、優しいから

忙しい俺らに気を使って何も言わないで行ったと思う。」

陸「確かに、送別会とかやろーぜ！ってなっても

申し訳ないとか遠慮しそう。」

陣「せやな～。よく気が使える人だったもんな。」

北「壱馬の言う通りかも。」

みんなそれぞれ、うんうんと頷き顔を見合わせる。

壱「だから誤解しない方がいいっていうか…

もしまた違う場所で会ったとしても今まで通りに

接してあげた方がいいと思う…んですけど、

みなさんどうですかね…？」

陣「いや、ええんちゃう？」

L「そうだね。みんな賛成じゃないかな？」

満場一致で、話しはまとまり、

俺らはいつも通りリハを開始した。

リハと他の仕事が終わり、

さぁAさんの事務所へ向かおうとした時、

壱「陣さん！」

壱馬に呼び止められ、北人と陸くんは気を使って

先に歩き出した。

陣「どしたん？」

壱「いや…あの、そのなんてゆーか…。」

壱馬はどこか言いにくそうに、首に手を当てて口ご

もる。

俺は最初からなんとなく分かっていた。

俺を呼び止めた理由が。

陣「分かってんで。壱馬がAさんの考えに最初に

気づいたこと言わんでほしいのも。」

俺は苦笑いで言った。

壱「ありがとうございます…。」

陣「ま、言うか言わないかは俺が決めるけどな！

代表で行くんやし！」

俺はおちゃらけて言った、半分本気の半分冗談。

壱「ちょっ！勘弁してください。」

陣「壱馬、時には素直でいた方が得することもあるんやで。」

これは壱馬も分かりきってることだと思う。

けど、あえて言わせてもらうで。

しばらく壱馬は難しい顔して黙ってしまったが、

俺は歩き出した。

素直なれない仲間にリーダー陣。

人肌脱ぐとしますか！