一期一会 (ページ28)

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「おつかれさまです、お先に失礼します。」

私は荷物をまとめる。

田上「あ、明日からライブ同行だっけ？気をつけて

ね。お土産よろしく！」

「お土産買う暇があ・れ・ば買ってきますね！」

田上「なにそれ～。甘いもの限定だからね。おつか

れちゃん！」

って言っても、いつもお世話になってる先輩だし

ちゃーんと買っていきますよ先輩。

とは言わず、明日のこともあるためリハも早く終わ

ったので、いつもより早く帰れる。

この会社に入社してからずっと気になっていた

Amazing coffee寄ってみようかな。

美味しいと話しは聞くものの、帰りが遅かったりで

なかなか営業時間に行けなかったからちょうどいい。

お店に着くと、時間帯もあってか人はまばらで1人で

も入りやすかった。

たくさんあるメニューからなんとか注文でき、ポケ

ーッとお店の内装を見ながら出来上がるのを待って

いた時、後ろから肩を叩かれ振り返ると、

「陸さん？！」

陸「シーッ！Aさん、声！」

私は慌てて自分の口を手で塞いだ。

「どうしてここに？」

陸「どうしてって…コーヒー買いに。それ以外ないでしょ。笑」

「ですよね。笑」

陸「テイクアウトっすよね？少し飲みながら歩きません？」

「でも明日ライブなのに、大丈夫なんですか？外に

いて風邪とか引いたら…」

陸「なんか興奮しちゃって家にいても落ち着かなく

て。だから少し気分転換、付き合ってください。」

どーせ自分も飲みながらゆっくり帰ろうと思ってい

たところだし、断る理由もないのでそうすることにした。

「あ、この前より桜咲いてる～。」

陸「この前って、壱馬と来た時っすか？」

陸さんは自分の携帯で桜の写真を撮りながら聞いてきた。

「えっと…はい…そうです。」

なんだこの悪いことして怒られてる感。

陸「俺も誘って欲しかったなー。」

陸さんは少し拗ねたような口調で言う。

「すいません！私もまさか桜見にくるとは知らなくて…。」

陸「でも大丈夫。いまAさんと見れたから。」

その時、ブワッと風が吹き桜が少し散った。

「またまた～！そういうのはあんまり軽々しく言っ

ちゃダメですよ！」

陸さんはスタスタと歩み寄り、頭を触り、

陸「桜、ついてる。」

壱馬さんといい、陸さんといい、やることが

あざといです。