一期一会 (ページ15)

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「たっ…高そうなお店…。」

陸さんから指定されたお店はその辺にあるチェーン

店ではなく、いかにも芸能人御用達のお店という感じだ。

案内された席は個室でその瞬間、あ～芸能人と食事

をするんだ、という変な緊張感に襲われた。

陸さんと陣さんは私たちより先に到着していて、個

室の扉を開けるなり、待ってましたと言わんばかり

の歓迎を受けた。

「ん～！おいしい！こんなに美味しい焼肉は人生初めててです！」

私は口いっぱいに頬張って、この喜びを噛み締めた。

陣「ホンマおいそうに食べますね～。」

そう言いながら、隣に座っている陣さんがどんどん

お肉を取り皿に置いてくれた。

陸「連れてきたかいがあったね、陣くん！」

「ほんとありがとうございます！」

陣「いや俺はなにも計画していないけどね。笑」

それからお酒も進み、たわいもない話しで盛り上が

り気づけば終電の時間が迫っていた。

田上「Aちゃん、ちょっと飲み過ぎだよ。

これじゃ電車無理だ。タクシーで帰ろう。」

「陣さ～ん、これからも一緒にオカン頑張りましょ

うね～。陣さんがいれてくれればもう～安心っ！」

陣「わかったわかった！Aさんホンマ飲み過ぎやで！」

「陸さんも今日はありがとうございましたー！！す

っごく美味しかったです！！」

陸「声デカ！笑ほらっ、タクシー来ましたよ。」

「私っ！オカンだから陣さんと同じその帽子買う！」

陣「何を言うてんですか。笑」

陸「じゃぁ僕の貸してあげますよ。ほらっ。」

「えー！いいんですか？！お～陸さんの帽子～歌上

手くなりそう～。」

田上「もうほら乗って！2人とも今日はごちそうさま！」

「おつかれさまでしたー！！！」

田上「うるさい！」

はい、私の記憶は焼肉を食べてる途中から曖昧でございます…。

夜中、ハッとして起きたら自分のベットの上でして。

ついさっきまでタクシーの揺れが気持ちよかったのは覚えてる。

うわ…化粧も落とさず寝ちゃってたんだ。

携帯…と思い、鞄を見つけ出すと鞄の上に見知らぬ

キャップ型の帽子が置いてあった。

誰のこれ。

とりあえず携帯…と思い、画面をつけるとラインの通知が一件。

陸さん今日はお疲れ様です!さっきの帽子気に入ったんならそのまま差し上げまーす!

え…私はいったい何をやらかした…？