Last Love (ページ44)

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～北人～

北「はぁぁ～～。」

樹「なんすか、そのあからさまなため息。」

北「おい！俺、先輩！わかる？俺の方が先輩！！」

樹「あー、はいはい。」

収録が終わり、各々で過ごす楽屋。

ついこの前まで、世界が輝いていたのに今はモノク

ロの世界にいるような気分。

なんてったって、Aと連絡がつかないからだ。

ラインは知ってるつもりで実は知らなくて、唯一の

連絡手段は電話しかなかった。

だけどその電話に出ないは、折り返しもかかってこない。

って言ってもまだ一回しか、かけてないんだけどね。

何かあったのかな…

あ、もしかしたら壱馬なら知ってるかもしれない。

どちらにせよ、俺の気持ちも壱馬に伝えなきゃだ。

北「壱馬ー。ちょっといい？」

楽屋の端で携帯をいじる壱馬に楽屋の外に出て話す

ことを伝える。

北「最近、Aと連絡取れてる？俺この前電話した

んだけど、連絡つかなくてさ。」

壱「北人…これ以上A傷つけんな。」

ずっと俯いていた壱馬が顔を上げる。

北「え…どういうこと…？」

意味がわからない。

俺がAを傷つけている？

壱「言われなくても北人の気持ち、俺は気づいてん

ねん。

それに…俺はAを泣かすようなことはしない。」

俺が何したって？

連絡がつかなくて、泣きたいのは俺の方だよって口

から出そうになる。

北「ごめん、壱馬の言っている意味が分からない。

詳しく説明してほしい。」

壱「だからっ…」

マネ「あ、いたいた。もう出るから準備して。」

少し苛立つ壱馬の声が途切れ、マネージャーに続き

楽屋からメンバーがワラワラと出てきてしまった。

壱「とにかく…これ以上は俺も黙ってないからな。」

宣戦布告というのはこういうことなのか。

壱馬は同い年で、同じボーカルで、仕事上ライバルで、

時には喧嘩し、時には熱く語り合い、辛いことも一

緒に乗り越えてきて何か通じ合うものがある。

だけど、今回ばかりは壱馬の言いたいことが分からない。

俺はどうしたらいい？