Last Love (ページ27)

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～北人～

Aが迷うといけないからって

待ち合わせ時間より少し早めに来た。

いつも時間ギリギリで、のんびり屋なこの俺が待ち

合わせ時間より早く来るなんて知ったら、メンバー

のみんなは驚くだろうな。

だけど、待ち合わせ時間になってもAが来ない。

やっぱり方向音痴発揮してるのかな。

とりあえず、入り口の方まで行ってみよう。

もしかしたらその辺でキョロキョロしているAが

いるかもしれない。

入り口まで来たら、見覚えのある人と…男の子？

駆け寄るとすぐに分かった。

やっぱりAだ。

一緒にしゃがみこんでいる男の子は涙目で、俺を見

上げて、なんとなく分かった。

あ、転んじゃったんだって。

俺も男の子に声をかけようとモタモタしていたら、

Aは手際よく自分の鞄から絆創膏を出して、怪我

の部分に貼ってあげていた。

さすが、保母さん。

そして最後に男の子に声をかけて、送り出したA

の顔は優しくて、俺は見入ってしまった。

なんというか…その優しさがあまりにも綺麗で、

汚れのない気持ちというか…。

完全にもっていかれた。

彼女にハートをグゥワッて鷲掴みにされた感じ。

どうしよう、壱馬はAのこと…

俺、どうしちゃったんだろう。

とりあえず彼女から視線をそらし、自分の心からも

視線をそらすしかなかったんだ。