恋文の書き方２

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ベンチに座わり、空を見上げる。




まだまだ残暑が〜なんて天気予報で言ってるけど、

空は少しずつ秋に近づいているのを知らせてくれる。






16時59分。


今日もダメだったか…。



やっぱり…来てくれないのかな。



いやいや、諦めちゃダメだ。



いつもこの二つの気持ちが、時間ギリギリになると

押し寄せてくる。





17時を知らせる音楽が遠くの方で流れたのを機に、

私は立ち上がり振り返ると、







「理沙ちゃん…。」





少し離れた所に、理沙ちゃんが立っていた。





「来てくれて、ありがとう…。」


理沙「…。」



その場から動かない理沙ちゃんに、私は少し歩み寄

るが、何も言ってくれない。





「あの…、この前は嫌な思いをさせてしまってごめ

んなさい…。

言い訳に聞こえるかもしれないけど、私…、理沙ち

ゃんと壱馬くんの関係を知らなくて…。

あの時も、落ち込んでた壱馬くんを元気づけるため

に私が誘ったの。」






私は嘘をついた。




ただのお礼にしたって、

ー壱馬くんから誘われてーなんて言ったら、また理

沙ちゃんをまた傷つけてしまうから。





「だから…嫌な思いをさせてしまって、ごめんなさ

い…。」




理沙「Aさんは壱馬のこと…好きなんですか？」





思いもよらない質問に、私はとっさに否定ができな

かった。





理沙「Aさんの好きな人の話し、あの時の洋服、

一致するのって…壱馬ですよね？」




その時、やっと理沙ちゃんと目が合った。



だけどその目は鋭くて、思わず目を逸らしてしまう。





「それはっ…、」


理沙「私、別れませんから。」




「別れてほしいとも思ってないし、言うつもりもな

いよ！ただ…、自分を傷つけるのはやめよ？」





理沙「っ！」


明らかに動揺して、自分の腕をさする理沙ちゃん。





理沙「壱馬に聞いたんですか…？」




「ううん、違う。私が理沙ちゃんと一緒にいて、気

づいたの。」




また私は嘘をつく。


誰も責められない最善の方法だ。






「自分を傷つけても、理沙ちゃんも壱馬くんも悲し

むだけだよ？

だからちゃんと壱馬くんと向き合って、話した方

が…、」




理沙「会う時間も少ないし、自由にどこも行けな

い…私はこんなに好きなのにっ…！」




理沙ちゃんの目から頬に、涙が伝う。

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