恋文の書き方２

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「えっ…理沙ちゃん…？」




振り返れば、そこには今日も安定の可愛さでいる理

沙ちゃんが立っていた。





理沙「…どうして…？」




「理沙ちゃん！あっ、洋服ちゃんと着たよ！」





そう言って駆け寄るが、理沙ちゃんは私を素通りし

て、壱馬くんの方へ。





理沙「壱馬…どうして…。」







え…、今…





ー壱馬ーって言った…？





その瞬間、スローモーションで壱馬くんが一歩前へ

出る。






壱「理沙、話があるんだ。」



理沙「うん…。」




なんだろう…すごく心がザワザワする。





二人が何かを話しているけど、その姿さえ見れなく

て、ここにいてはいけない、脳がそう危険信号を出

しているように感じる。





壱「Aさん、悪い…先に帰っててもらってもえ

え？…ホンマごめん。」




「うっ、うん…。」





チラッと理沙ちゃんを見るけど、こっちを一切見ず

に背中を向けたまま、壱馬くんと人混みの中へ消え

ていった。








ーーーーー




私は家には帰らず、北ちゃんとアイスを食べた公園

へ来た。




辺りはすっかり真っ暗になり、月の光が木々を照ら

し始めるのをベンチに座り、眺めた。






そうか…。



理沙ちゃんの大好きな人は、壱馬くんだったんだ。





浮かれて洋服まで選んでもらって、私最低だ。






壱馬くんが独り身じゃないことは知っていたし、分

かっていたつもりだった。





でも、どこかで少し期待してしまう自分がいて、で

もそれを認めたくなくて…、



ツケが回ってきたんだ。






理沙ちゃん…私に反応もしなければ、見てもくれな

かった。






傷つけてしまったに違いない。






そして、私の頬を涙がつたう。



これは何の涙？



理沙ちゃんを傷つけた涙？






それとも、壱馬くんへの涙？









ヴー


鞄に入れていた携帯が震え、画面を見ると北ちゃん

からの電話だった。






あ、すっかり夕飯のこと忘れてた。



時刻はもう21時近い。




やっちゃった…、自分のことでいっぱいいっぱい

で、自分勝手にもほどがあるよね…。






後ろめたさから電話に出れず、しばらくすると北ち

ゃんからの着信は切れた。






時間を巻き戻せるなら戻して、だれも傷つかないよ

うにしたい。





頭の中がグチャグチャで、心なしか頭痛もしてきた

ので、俯いていたら誰かの足が視界に入った。

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