１６７ ページ17
それから壱馬くんは変わらず
静かな寝息をたてて
眠ってしまったので、
その場をそっと離れた私は、買ってきた物を片付ける
ためにもキッチンに向かった。
私が来た時と何も変わらないモノクロで統一されたリ
ビングに併設されたキッチンに入ると、シンクには少
しの洗い物と栄養ドリンクがまとめて置いてあるのが
目に入る。
人の家、ましてや壱馬くん家の物を勝手に触るのは躊
躇してしまうが、普段から家事もしている身としては
目を瞑ることができず、買って来た物をある程度片付
けてからそれに手をかけた。
「ふぅ〜…。」
一通り終えた私が再度、壱馬くんの部屋に戻っても彼
はさっきと変わらない位置で目を瞑っている。
寝相が変わらないくらいだから、相当深い眠りに入っ
てるのかな…？
シンクに入っていた物を見る限り忙しいからか、あん
まり食べていない感じだったな…。
心なしか、前よりまた更に痩せた気がするもん…。
そんなことを心配しながらも、私は手持ち無沙汰にな
ってしまったので壱馬くんの近くに腰を下ろして、ベ
ットにそっと頬杖をつくと、急に瞼が重たくなる。
ここで寝ちゃダメだ…。
だけど、瞼が重くてー……、
浅い意識の中で、脳内では起きていなきゃ！と思って
いながらも、自分が寝てしまっている自覚もある矛盾
の中で何かに引き戻されるように、ゆっくりと目を開
けると、布団の中の壱馬くんと目が合って私は飛び上
がった。
「ごごごごめんなさいっ！！」
壱「いや、こっちこそ起こしてごめん。」
力なく微笑んだ壱馬くんの傍らには、私が突っ伏して
寝ていたであろう窪みができている。
私…、また寝ちゃってたんだ…！
最悪だー！！よだれ垂らしてなかったかな？！
とんでもない寝顔してなかったかな？！
一人、あわあわしているのを見て、壱馬くんはふっと
笑った。
壱「さっきより少し良くなったみたい。ありがと、
Aさん。」
そう言って、壱馬くんは起きあがろうとしたので私は
慌ててそれを制した。
「ダメだよ！まだ寝てなきゃ！！」
壱「でも、」
「まだ、寝てからそんなに時間経ってないし、それに
一番早く治す方法はたくさん寝ることだよ！」
すると壱馬くんは私の背後をチラッとみてから、
壱「いや…Aさん、もう朝の６時やで。笑」
「……えぇえー？！！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 766人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそじ(プロフ) - ましゅさん» お返事遅れてしまいごめんなさい（ ; ; ）こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました！ (2021年3月22日 22時) (
レス) id: 4773dc142a (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - わぁー(;_;)壱馬くんsideとカリンsideありがとうございました！良かったです。改めて完結おめでとうございます☆ (2021年2月28日 22時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ma9さん» お褒めのお言葉ありがとうございます！更新できるよう頑張ります！ (2021年2月12日 10時) (レス) id: 6c1fcd7cbb (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - まりさん» コメント&お褒めのお言葉ありがとうございます！ (2021年2月12日 10時) (レス) id: 6c1fcd7cbb (このIDを非表示/違反報告)
ma9 - おまけストーリー面白かったです。サイドストーリー楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2021年2月8日 22時) (レス) id: aa709fe039 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みそじ
| 作成日時：2020年10月19日 12時
