nostalgic ２

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含み笑いをしたその人は、

私たちのことを考えているようで

まったく考えていない利益目的だけだと

いう裏がその顔から読み取れる。




だけど年齢のいった店主の所なら、あら？そう？なん

て契約書に印鑑まで押しちゃいそうな感じ。





父「とにかくうちは、動かん！」


男１「検討されてる方が何人かいらっしゃいます。そ

れも前向きに…。」




「そんなっ！」



男１「それに、今よりもっと楽な生活ができますよ？

何も心配することなく…。」




洗脳するかのように囁き、いかにもその答えでなけれ

ば、反対している私たちがまるでダメなのではないか

と錯覚してくる。




お父さんは床の一点を見つめていて、何を考えている

か分からない。








その時、お店のドアが再度また開く音がしたかと思う

と、




店主２「よう。」



あの日、何も言わずに帰ってしまった数人が入って来

た。







父「揃いも揃って、何の用だ？うちはもう今日は閉め

たんだぞ。」




あの一件から少しギスギスしていた私たちなだけに、

お父さんも強めの口調で聞く。





店主２「良い話だと思わないか？大金ももらえて、俺

たちの生活も潤う。」




その横に立つスーツの男性は、ニコニコとうんうんと

うなずいている。

　


父「目先の金にくらんだな。」



けっ！とでも言うように、お父さんは視線を逸らす。






店主２「そうだ、くらんだよ。楽に大金が入ってくる

わ、簡単に店の始末もつく。

…けどよ、それじゃダメなんだって。ここには金に変

えられないものがたくさんあんだよな。」





「…えっ…？」





私たち家族は、目が点になる勢いで彼等を見ると、み

んな険しい顔がみるみるうちに柔らかくなる。




その反面、眉間にしわを寄せて私たちを交互に見て驚

くスーツの男性は、えっ？！を連呼し始める。







店主２「…っていうわけだ。悪いがその話は無かった

ってことで頼んだぞ。」



そしてテンパるスーツの男性の肩を軽くポンポンと叩

いてすぐお店を出て行ってしまったので私はすぐにそ

の後を追った。







「あのっ！」


お店を出て数歩先で止まる、お父さんよりは少し年齢

のいった背中に呼びかける。





「いいんですかっ？！それで…。」



するとゆっくり振り返り、




店主２「話し合った結果…、あんたについて行くで満

場一致だ。」




うそ…、ダメじゃなかったの…？





「ありがとうございます！！」

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