nostalgic ２

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〜北人〜


俺は基本、嘘をつくのが下手だ。


今までも、テレビの収録や生放送ではマネージャーを

何度もヒヤヒヤさせたことがある。




だけど、ここ最近は嘘が上手くなった気がする。





翔平「北人さん、見てくださいよこれっ！」


メンバー会議の今日、みんなが集まるまでの自由な空

間で雑誌片手に寄って来たのは翔平だった。




北「ん？」


翔平「昨日、陣さんの家に行ったら懐かしの雑誌があ

りまして。ほらっ！」



開かれたページには、俺と壱馬、樹にまこっちゃんの

インタビューが掲載されていた。




うわー、懐かしい…。


これって確か、王子と貴族のストーリーの映画公開に

向けての取材だ。



てか陣さんがこれ持ってるとか、どういう趣味？笑





北「こんな時もあったねぇ。」



翔平「どれどれ…北人さんは彼女から連絡が来なかっ

たら怒る、ですって！そうなんすか？！笑」



翔平は雑誌から顔を上げてニヤニヤと、そうなんす

か？！とデカイ声で少し興奮気味だ。



北「うるせぇ！ちょっと貸して！」




もうそのインタビューの内容を覚えていなくて、翔平

の手から雑誌を無理矢理取って見てみると、「彼女に

〇〇されたら？」という内容だった。




壱馬は〜…と、自然な流れで見てみれば「自分は追撃

しないタイプ」と記載されていて、納得する。





確かにAちゃんが姿を消したりしても、彼女を想

うあまり責めず、何もしなかった。




それに比べて俺は…、壱馬からAちゃんが姿を消

した話しを聞いてから、彼女に無視され続けてもけっ

こう連絡したよなぁ。



しかも、怒っちゃったし…。





そういえば、好きなタイプと聞かれていつも答えるの

は「夢を持ってる人」や、「何かを頑張ってる人」み

たいなことを言い続けてたっけ。




…あれ？ちょっと待って。




それって…それって…、





翔平「…とさん！北人さん！」



北「え？」



翔平「いやいや！え？じゃないですよ！笑

どこ見てボーッとしてんすか！笑」




ふと我にかえると俺はもう雑誌なんか見てなくて、向

かいの席を見ていた。




その時、壱馬が楽屋に入ってくる。



その薬指にキラリと光る指輪が真っ先に目に入った。




あぁ…最近その指輪に目が行くのは、そういうこと

か。




俺も嘘をつくのが、上手くなったなぁ。





翔平「大丈夫っすか？」


北「うるせ、余計なお世話だ。」





気づいた時には、時すでに遅し。





ーFinー

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