nostalgic

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北「ご無沙汰してます。」



笑顔で軽く一礼する北人くん。




父「いやーずいぶんとまぁ、印象が変わったな！」






なぁ？と、お母さんと私に促すとお母さんは、ほんと

都会のお兄さんみたい！なんて笑ってる。







そりゃそうだよ…。



だって本当は北人くん、芸能人で都会の人だし、あの

時のヤンキー姿は役だったんだから。





と、この場では言えないので私は苦笑い。







北「あの、後でAさんを少しお借りしてもいいで

すか？」



「えっ？！」




驚く私を無視して、北人くんは両親を交互に見る。







母「どうぞどうぞ〜！なんなら今でも、ねぇ？お父さ

ん？」



「えっ、だってまだ閉店まで少し時間あるし…、」




父「そうだな。せっかく来てくれたんだから、少し行

ってこい。」





いつも厳しいくせに、今日に限っていらないお節介を

焼くお父さん。





「いやっ、でも…、」



北「僕も待てるので今じゃなくても…、」





北人くんも遠慮し始めて、なんか変な感じ。








母「いいのよ、いつも商店街のことも頑張ってるんだ

から！たまには甘えなさい。」




お父さんの気が変わらないうちにほらっ！と、お母さ

んに背中を押されながら、私たちはお店の外へ出た。









北「なんか…ごめんね？仕事中だったのに。」




商店街を歩きながら、北人くんは私の顔色を伺うよう

に言う。




「いえ…、大丈夫です…。」






今や誰もが知るグループの一人になった北人くんへの

接し方が、分からない。





しかも北人くんと最後に話したあの時の電話で、私は

一方的に電話を切ってしまったし…。





気まずいにも程がある…と、一人もんもんとしていた

ら、




北「前と比べて、活気があるね。」





前後、左右をキョロキョロしながら見渡す。







「活性化事業…ってのを始めたので…たぶんそれ

で…。」





北「あぁ！もしかしてさっきお母さんが言ってた、商

店街の…ってやつ？」





そうです…、と足元を見ながら言えば、えっすごいじ

ゃん！と北人くんの声は少し大きくなった。






北「そっかそっか。それ聞いたら喜ぶだろうなぁ。」




「えっ？」



北「えっ？…あぁ！いや！なんでもない！」






誰が喜ぶんだろう？




まったく想像がつかない中、眼鏡をクィッと上げて、

慌てる姿はどこか懐かしかった。

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