nostalgic

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だけど行ったら行ったで、彼の姿を

探してしまって…でもいなくて

ガッカリする自分が目に見えている。




期待をして裏切られるほど、辛いものはないから…。






「行けるように…頑張ります…。」




ユズー頑張ります、じゃなくて絶対来て！ねっ？！分

かった？！ー






だからこうやって、いつも曖昧にしてきたけどいい加

減、ユズにハッキリ言わなきゃな…。





未だに彼を探してしまうって…。







「わかった、わかった！あっ、もう私行かなきゃ！じ

ゃ、またメールする！」



ユズーあーっ！ちょっと、逃げるな〜！ー







まだ電話口でユズの引き止める声が聞こえたけれど、

さよならを告げて強制的に通話を終わらせた。







「…ふぅ…。」




一息ついたのも束の間で、





母「あっ！こんなとこにいた、Aにお客さん！」





お母さんが慌てた顔で、ひょっこり現れた。







「お客さん？わかった、今行く！」









お店にいる時間に来る人なんて、いったい誰だろ

う…。





前を歩くお母さんがお店へと続くドアを開けながら、




母「ごめんなさいね、お待たせしちゃって〜。」





他所行きの声を発するお母さんの背中から見えた人

に、私はその場で固まる。









北「いえ、全然大丈夫ですよ。」




「…な…なんで…？」





そこには、あの時より少し大人びた北人くんがいたの

だ。






北「久しぶりAちゃん。」






髪の色は金髪から暗い色になっていて、おしゃれな丸

眼鏡なんかかけちゃって、完全に都会の人って感じ。





だけどニッコリ笑うその顔は、あの時となんら変わっ

ていなかった。









「なんで…いるんですか…？」





上手く口が回らなくて、たどたどしくなってしまう。




母「何言ってるの！せっかく久しぶりに来てくれたの

に！」






お母さんはテレビに疎いからか、未だにあの二人が芸

能人だったということに気付くことなく、今日まで来

ている。





ほんと、それもそれで奇跡に近いけどね…。






って、そうじゃなくて！




「オヒサシブリデス…。」




私は緊張でカタコトになってしまい、北人くんがぷっ

と吹き出し時、厨房からお父さんも姿を現したのをお

母さんが捕まえる。





母「お父さん、ほらっAが高校の時の…、」




え？と、戸惑いながらもまじまじと北人くんの顔を見

たお父さんは、






父「…あぁ！あの時の！いやいや、久しぶりだな

ぁ！」

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