nostalgic

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桜が舞い散る中…ってよく言うけれど

実際その景色の中、卒業式や入学式を

迎える人なんて、ごくわずかだと思う。




そんなドラマみたいなこと、あるわけないって思うの

は私がひねくれてるから？









世間はお休みの春日和。



お店の裏口でポカポカと暖かく感じる日差しに目を細

め、鳴り続ける携帯を耳にすると、







「もしも…、」

ユズーもっしも〜し！ー




相変わらず、元気なユズ。





「相変わらず元気そうで。笑」



ユズーでも、A不足だよ〜。泣ー





何言ってるの、と私は吹き出す。







「新しい職場はどう？」



ユズーもう毎日緊張しまくりで、おかしくなりそう

っ！ー



「ふふっ、でも充実してるって感じじゃん。」







そう言えば、こんな時はAに会いたいよ〜と、ユ

ズは電話越しで嘆いた。








高校を卒業した私たちは今、地元と東京でそれぞれの

道を進んでいる。







ユズは宣言通りアパレル業界を目指すべく東京の服飾

専門学校へ行き、この春からアパレルブランドで新社

会人としてスタート。







慣れない土地で一人暮らしということもあり、こうや

ってたまに電話をしてきては、くだらない話しやお互

いの近況報告を何度もしてきた。







居場所が離れていても歳をとっても、変わらず私たち

は親友継中ってわけ。








そして私も地元を離れず製菓の専門学校を卒業した末

に、実家のお店で奮闘中だ。







自営業の親を持つ子供のシナリオ通りって言われるか

もしれない。




でも今は、それで良かったと思う。



だって、私には何も無かったから…。








ユズ「お店の方は順調っ？」



「うん、おかげさまで。」




ユズ「それなら何より！あれは？商店街の〜…なんだ

っけ？えーっと…、」



「活性化事業？」



ユズ「そうそう！それそれ！」




「昔に比べたらまだまだかもしれないけど、でも前よ

りはお店の数も増えたし、来る人数も増え続けてる

気がするかな。」







実はパン屋で奮闘中の傍ら、廃れたこの商店街に活気

を戻そうという活動を高校卒業以来、ずっと続けて来

ているのだ。





と言っても、地域の方や組合の方たちの協力あっての

ものだけど…。

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