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どれくらいそうしていたか

分からない。





だけど、タイムアップを知らせるかのようにポツポツ

と私たちの上には雨が少しずつ降り注ぎだす。








「あっ…、ごめんなさいっ…。」



目を拭いながら、少しだけ楓士雄くんに預けていた体

を離す。






壱「もう大丈夫か?」




「すごく楽になりました。もう大丈夫!それより雨

が!」







私は鞄から急いで折りたたみ傘を出して、楓士雄くん

も入るようにさした。





それでも充分距離は近くて、今になって心臓が口から

出そう。







壱「A、ひとつだけ伝えたい事がある。」



「伝えたい事…?」




少し上にある彼の顔を見上げると、いつものキリッと

した顔ではなくて、眉毛が下がってどこか悲しそうに

見える。






壱「…俺はこの時、この瞬間を絶対忘れない。だから

Aも忘れないでほしい、何年経っても。」




「忘れないっ…、絶対忘れない。」






忘れないんじゃなくて、忘れたくない。




何があっても…。







すると楓士雄くんの顔が近づいて来たかと思うと、私

の額に触れるくらいのキスをしてきた。





「っ!!」




壱「まじない、忘れないための。」






真っ赤になって口をパクパクさせている私を見て、楓

士雄くんはがふっと笑った瞬間、持っていた折りたた

み傘を押しつけて私は走り出した。





壱「おいっ!傘っ…、」





背後で彼の焦る声が聞こえたので振り返り、




「もうすぐそこが家だし、それ貸します!」




壱「ちょっ、おい!」








それでも楓士雄くんが背後で呼び止めていたけれど、

聞こえないフリをして家路へと止まることなく走り続

けた。









楓士雄くんにっ…、





楓士雄くんに、キスされてしまった!!!





額だけど…、でも!




キスには変わりはない!!









いつもだったら少しでも雨に濡れるのが嫌なのに、今

は全然違くて、どんどん上昇する顔の温度に冷たい雨

はちょうど良く感じた。









あの時、楓士雄くんが悲しく笑ったように見えたこと

はすっかり忘れて…。

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作品ジャンル:恋愛
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みそじ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます!だらだらと長くなっていますが最後までお付き合い頂けると嬉しいです( ; ; )その後のストーリーも検討しておきますね! (2020年2月5日 11時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - すごく素敵なストーリーですね!更新を楽しみにしています!付き合うまでの過程も面白いですが、その後のストーリーとかもあって欲しいなって思います(^^) (2020年2月4日 23時) (レス) id: 2e81ed1e8d (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます!切ない気持ちになって頂けるのが狙いだったので良かったです!笑 更新遅いですが今後の展開はお楽しみでお願いします( ; ; ) (2020年1月15日 19時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - ふじおくんとつかさくんの優しさ…主人公ちゃん自分の気持ちに気付いたのに切ないです(;_;)(;_;)もう会えないのかな?(;_;) (2020年1月14日 15時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - KKさん» コメントありがとうございます!更新遅くてごめんなさい( ; ; )そのお言葉、励みになります! (2020年1月7日 12時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みそじ | 作成日時:2019年12月28日 15時

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