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学校を出る時は今にも雨が降りだしそう
だった空は相変わらずグレーだけど、
私たちがいつもの場所まで戻って来ても
なんとか持ち堪えてくれている。
北「俺、先に戻る。」
いつもの場所にちょうど着いた瞬間、司くんは言っ
た。
北「なんか俺までパンもらっちゃって…、後でゆっく
り頂くね。」
「こちらこそ、ありがとうございました!」
一礼して顔を上げると、司くんは爽やかな笑みと共に
ひらひらと手を振って帰って行った。
壱「ありがとな、色々と。」
司くんの小さくなっていく背中を眺めながら、隣に立
つ楓士雄くんは言う。
「こちらこそですよ!わざわざあんな場所まで足を運
んで頂いてしまって…。」
壱「良いお店だったで。それに手作りのものって、作
ってる人の人柄が出るんやな〜って改めて思った
わ。」
そんな風に思えるの、すごいな…。
私じゃそこまで考えられない。
「なんか…楓士雄くんて、物事の捉え方とか感じ方が
大人。」
壱「ハハッ。だてにAよりは長く生きてねー
ぞ。」
そう言って、いたずらな笑顔が眩しい。
私は胸がキューってなるのを逃すように、下唇を少し
噛んだ。
もうこれで自分の気持ちに白黒ハッキリついた。
好き。
私は、楓士雄くんが好き。
そう思ったら話しは早くて、連絡先を聞くんだ!と脳
内はその言葉でいっぱいになる。
「楓士雄くん!!」
壱「ぅおっ!なんや?!」
すぐ隣にいるのに、思ったより大きな声を出してしま
ったおかげで、楓士雄くんは柄にも無くビクッと肩を
揺らせた。
「あのっ…そのー…えっと…、」
ダメだ…、やっぱり自信がない…。
あんまり自分からこういうのやったことないし、勇気
が出ない…。
自分の経験値の低さから結局口から出た言葉は、
「…楓士雄くんの進路は?!」
はぁあ〜…、自分何聞いてんのよ…。
心の中で私は、頭を抱える。
壱「…進路…?」
ほらほら、なんでそんなこと聞くんだよ?みたいな顔
してるし…。
「いやっあの〜…、私もう進路を決めなきゃいけない
時期でして!先輩の楓士雄くんの進路の話とか聞けた
ら、少しは参考になるかな〜?と思いまして!」
早口でなんとか取り繕うけれど、楓士雄くんは顎に片
手を添えて少し考えた後、口を開いた。
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みそじ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます!だらだらと長くなっていますが最後までお付き合い頂けると嬉しいです( ; ; )その後のストーリーも検討しておきますね! (2020年2月5日 11時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - すごく素敵なストーリーですね!更新を楽しみにしています!付き合うまでの過程も面白いですが、その後のストーリーとかもあって欲しいなって思います(^^) (2020年2月4日 23時) (レス) id: 2e81ed1e8d (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます!切ない気持ちになって頂けるのが狙いだったので良かったです!笑 更新遅いですが今後の展開はお楽しみでお願いします( ; ; ) (2020年1月15日 19時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - ふじおくんとつかさくんの優しさ…主人公ちゃん自分の気持ちに気付いたのに切ないです(;_;)(;_;)もう会えないのかな?(;_;) (2020年1月14日 15時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - KKさん» コメントありがとうございます!更新遅くてごめんなさい( ; ; )そのお言葉、励みになります! (2020年1月7日 12時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みそじ | 作成日時:2019年12月28日 15時