nostalgic

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「なんだかそれって…、」

壱「Aっ！」





その時、名前を呼ばれて振り返ると少し息を切らした

楓士雄くんが立っていて、私も思わず立ち上がる。





「楓士雄くんっ！」


北「おっ、来た来た。」



壱「悪りぃ、遅れた…。」






楓士雄くんはそのまま私たちの方へ来て、司くんの肩

に片手を置いた。



壱「…司もありがとな、伝言。」


北「おやすいごようさ。」


壱「Aも遅れてごめんな。」





ほら、またそうやって優しく笑う。



それは反則だってば…。






だけど、ふるふると首を振ってから、私はあることに

気づく。






「あれ？顔の傷…、もう治ってる。早くないです

か？」






いつのまにか擦り傷はまったくと言っていいほど無く

なっていて、綺麗な肌が復活しているのだ。





壱「えっ…あぁ！これ？これは〜…俺、超人なくらい

傷が治るの早いんだわ！」





なっ？！司！と、笑いながら司くんと肩を組む。



北「まぁ…ね…。」





なーんか変なの。



そんな回復力、見たことも聞いたこともないけど。




さすがの私でも少し怪しんだ目で見ていたら、




壱「んなことより！今からAんちのパン屋行こう

や。」




「えっ？！今から？！なんで？！」




壱「え、この前のお礼しに。」





この前のお礼って…、お母さんが買ってくれたカレー

パンのことだ…。






「それはいいですってば！あの後、ちゃーんとお礼も

伝えておいたし、それにほらっ！今、忙しいかもしれ

ないですし！」






見た目がいかにもヤンキーな二人を連れて行ったら、

お母さん卒倒しちゃうわ、お父さんなんて何言い出す

か分からない！！






壱「そうか…、忙しいところ行っても迷惑なだけや

な。」




北「なんのことだか知らないけど、別の日にした

ら？」




苦笑いで言ってくれてる司くん、ナイスアシスト！




うーんと、両腕を組んで眉間にシワを寄せる楓士雄く

んに私は期待の眼差しを向ける。





けれど…、






壱「五分…いや、二、三分でもええねん。とりあえず

行くで。」



そして私の腕を取って、ズンズンと歩き出す楓士雄く

ん。





「えぇっ？！ちょちょちょっ、ちょっと？！」




司「なんだか知らないけど、面白そうだからついて行

こ〜っと。」






そんな私を他所に、これまたなぜか司くんも小走りで

後をついて来た。






まずいってこれはー！！！

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