nostalgic

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週明け。

靴の爪先をトントンと音を鳴らし

今にも振り出しそうな空を下駄箱からチラッと覗いて

いたら、





ユズ「まーた今日も楓士雄くん？」




少し口先を尖らせたユズも、自分の靴を床に置いた。





「うん…。ごめんね、最近寄り道できなくて。」



ユズ「ほんとだよー！ちょっと楓士雄くんに妬いちゃ

うなぁ〜、なんてね。」






今まではオシャレなカフェは無くとも、ユズとコンビ

ニに寄ったり、いつも別れる場所で立ち話したりして

たけど、ここ最近は私が楓士雄くんと会うことばっか

りで…。






さすがに申し訳ないな…。






「この埋め合わせは必ずっ！」





私は顔の前で両手を合わせば、ユズはわざと偉そう

に、





ユズ「コンビニのアイスで許そう。」






その時、そんな彼女の後ろから担任の先生が小走りで

寄ってくるのが目に入った。






担任「A！進路調査書出してないのお前だけだ

ぞ〜。」



「げっ！忘れてた！！」




ユズ「Aが忘れるなんて、珍しい〜。」








そうだ、忘れてた…。



楓士雄くんことで頭がいっぱいで、先週提出しなきゃ

いけないのすっかり忘れてた…。






担任「ったくもぅ〜。二、三日以内に出せそうか？」




「はい…、出します。」





じゃ頼んだぞ、と言った先生の背中を見ながら私はた

め息ひとつ。





「はぁ〜…、どうしよ…。」



ユズ「お父さんのパン屋さん、継ぐって話し？」



「うん…。」







創業何百年とまではいかなくても、それなりに続いて

きたうちのお店。





でも、だからといってそのお店の今後を無理矢理託さ

れたわけではない。







だけど感じる、そういう空気。



お父さんもお母さんもいつまでも…ってわけにはいか

ないし…。




そうするといつかは私がどの道、選択する時が来る。







ユズ「でも、Aはこの街出たいんでしょっ？出

て、何かやりたいこととかあるの？」





「やりたい…こと…？」







出たいよ、早く。


この何もない街から。






だけど、出てどうするの？


お店は？どうなっちゃうの？




それに…この街を出てまでして、やりたいことって…

なに？





ユズにA？と、顔を覗きこまれてハッとする。





「てか、そういうユズはどうなのよ？進路、決まって

るの？」




ユズ「決まってるよ〜！アパレル関係で働きたいから

東京にある服飾の専門学校行くんだっ！」





「えっ…、東京…？」

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