それは紙一重 (ページ50)

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ー当日ー

カナ「Aさん、運転係ありがとうございました

ぁ～！」

「いえいえ。運転嫌いじゃないし、いいってこと

よ。」

富士山の近くにあることで有名な、某遊園地の駐車場

に停めた車から降りるや否や、カナちゃんはワクワク

したテンションを隠しきれていない声で、お礼を言っ

た。

だけど集合場所に迎えに行った時は、二人っきりで行

けると思っていたのに私と竜太のおまけ付きで、それ

はそれは不満そうな顔をしてらして…。

肩身が狭かったが、行きの車では嘉くんと後部座席に

座れたことで気分が変わったのか、今はこの通りルン

ルンですよ…。

竜「聞いてないぞ、おい。」

「えっ？言ってなかったけ～？」

遊園地の入り口に向かおうと歩き出した時、竜太は隣

に来てすぐ肩で軽くどついたので、私は明後日の方向

を見てとぼけたフリ。

竜「遊園地のゆの字も言ってない。ったく…、こんな

とこ来るなら前もって言ってくれよ。」

明らかにちょっと迷惑そうに言う竜太に、言えない私

情があって巻き込んでしまったことを少し後悔した。

でも二人で行かせるわけにもいかないし…、だからと

言って他のメンバーを誘えば良かった？

いや…将と未来は自由すぎるし、利樹はマイペースだ

し、流星はインドア派で絶対来ない、リッキーは…あ

いつはダメだ！！カナちゃん好き公言してて暴走しか

ねない…。

…となると、やっぱり竜太なんだけどさすがに利用し

てしまったことが申し訳ないな…。

自分、最低じゃん…。

「ご、ごめん…。」

少し前を歩く竜太に謝ると振り返って、

竜「え？なんで？」

「だって…無理矢理…、」

竜「違うって。前もって言ってくれれば、もっと動き

やすい格好で来たのにって意味。」

「…え？」

竜太は自分のジーンズを指差すが、今でも充分に動き

やすそうな格好だけど…。

竜「ほら、嘉将たちにおいてかれんぞ。」

竜太はニカッと笑い、立ち止まっていた私に呼びかけ

たので、その背中に追いついて彼の肩を組む。

「竜太ありがと！」

竜「おいっ、やめろって！」

「なによー。いっつも人のこと、どついたりデコピン

してくるくせに。」

竜「俺はいいんだよ！」

「なんそれ！」

鈍感だけど、今日の私のパートナーが竜太でやっぱり

良かった。