それは紙一重 (ページ48)

今日:27 hit、昨日:4 hit、合計:78,513 hit

４８ページ48

その時、

嘉「A？」

振り向くと、嘉くんが寒そうに身を縮こませて立って

いた。

「っ！！…ごめん、もう切らなきゃ。じゃぁね！」

私は慌てて通話を切って、嘉くんの方に向き直る。

このタイミングで嘉くんが来たのが良かったような、

そうじゃないような…。

でも、あのままだったらYESと答えてしまっていたか

もしれない。

嘉「ごめん、電話中だったよね？」

「大丈夫大丈夫！どっ、どうしたの？またコンビ

ニ？」

ごまかすように笑って言えば、

嘉「…ちょっとお願いがあって。」

「お願い…？」

嘉くんのお願い…なんだろう。

全然想像つかないや。

嘉「あのさ…次のオフの日って、空いてたりする？」

嘉くんは、頬をポリポリとかきながら言った。

まさか…まさかこれはデートのお誘い？！

必死に頭の中でスケジュールを思い出して、自分に予

定が無いか思い出す。

「空いてる！絶対空いてる！！」

だけど、すぐに気付く。

そうだ…、私はカナちゃんに協力するんだった…。

嘉「ほんと？良かった～。いやその日さ、カナちゃん

に遊園地行こうって誘われてて…。ほんとは二人でっ

て言われたんだけど、二人でいるところ見かけられて

何かあっても…と思ってさ。」

「え…、」

まじですか…、そうきましたか…。

一瞬でも、一人舞い上がってしまったさっきの自分に

言ってやりたい。

とんだ勘違い野郎だなって…。

嘉「やっぱり予定ある感じ…？」

嘉くんは眉毛を下げて、必殺技である小熊みたいな顔

をする。

う…、その顔はずるい！！

でも、このままだとカナちゃんと二人っきりで遊園地

デートに行くことになってしまうし…。

だからといって、二人の良い感じなところを目の当た

りにできるほど、鋼のメンタルでもないし…。

だけど…だけど…、

「…わ、わかった！！行こう！！！」

嘉「良かった～、さすがA！すごく助かるよ。」

あ～…ほんと自分ってことごとく断れない人間なんだ

な…。

嬉しそうにニコニコしている嘉くんを見て、思う。

第三者に付き添ってもらうほど、そこまでしてカナち

ゃんと行きたかったんだな…って。