それは紙一重 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:78,488 hit

５ページ5

竜「わーお、息ピッタリ。笑」

「で？で？どんな人っ？」

私は竜太を無視してから、身を乗り出して隣を向く。

嘉「優しい人…とか？」

嘉くんの考える時の癖、空中を見上げる仕草をしたと

ころで、ふてくされる私。

「それいつも取材とかで言う、営業向けのやつじゃ

ん。」

嘉「えっ！でも、それはほんとだよ？！」

竜「嘉将自体が優しさの塊だもんな～。そりゃそうい

う人の方がいいわ。」

あわあわとする、嘉くんのフォローに珍しく回る竜太

を目を細めて見れば、なんだよ！と私のお皿からお肉

を取られてしまった。

その時、鞄に入れていた携帯が震えたのに気づき、画

面を見てみれば、彼氏からのメールを知らせていた。

ダーリンやっぱり今から会える?

「…ごめん！もう帰るね！これ、私の分っ。」

と、財布を漁って多めの紙幣をテーブルに置く。

竜「はっ？！まだ来たばっかりじゃんか！」

力「そうや！まだまだこれからって時に！」

将「え、もう帰るのー？」

二つのテーブルから、いっせいにブーイングが。

「ごめんって！ちょっと用事思い出し、」

嘉「彼氏…でしょ？」

お肉を焼く手を止めずに言う嘉くんの横顔は、ニッコ

リしている。

「えっ？！いやっ…それはっ…、」

突然、嘘を見破られてしまいしどろもどろになる私だ

ったけど、すぐに嘉くんのフォローが入った。

嘉「良かったじゃん、会えることになって。行って来

なよ。」

「嘉くん…、」

そしてこっちを見た顔は、微笑んでいた。

竜「んだよ、そうゆうことかよ～！ならリア充は行っ

た行った！！」

竜太はシッシッと、追い払うように手を動かした。

「ほんとごめんねっ？！あっ、そうだ明日早いから、

みんな遅刻しないようにね？！」

バタバタと荷物をまとめて出る準備をする私に、それ

はこっちのセリフだよ！とみんな口を揃えて言った。

お店を出る時、なんとなく振り返れば嘉くんとだけ目

が合ったので、私は口パクで「ありがとう」と言え

ば、優しい顔で頷いてくれた。