それは紙一重 (ページ36)

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だけど、嘉くんに片思いをするように

なってからは違った。

誰よりも近くで嘉くんを支えたい、彼の夢を叶えた

い、そう思ったの。

「分からなくもないけど…てか実は私、」

彼氏と別れたのって、言おうとした言葉を遮られる。

カナ「だったら私に協力してくれませんかっ？」

「えっ？！」

両手で可愛くお願いポーズをされてしまえば、もう断

りづらい状況に落とされた気分。

でも私も嘉くんを好き…、好きなんだけど…、

私より可愛いカナちゃんの方が、いつか周りも認める

美男美女なカップルになって嘉くんの面子も潰さない

＝二人ともハッピー…。

私の頭の中にそんな方程式が出来上がり、口が勝手に

動く。

「わ…わかった…。できること少ないと思うけ

ど…。」

カナ「ほんとですかぁ？！嬉しいっ！お仕事の時はち

ゃんとするんで、プライベートの時とかよろしくお願

いしまぁ～す。」

それじゃぁ私行きますねっ！と、明らかにルンルン気

分な彼女は、足取り軽くその場を後にした。

あー…、やってしまった…私の悪い癖。

押しに弱い所…元カレに対してもそうだったなぁ…。

とぼとぼと楽屋の方に歩いていたら、小走りのリッキ

ーと鉢合わせした。

力「あっ！いた！どこ行ってたん？！ずっと探してた

んや！！」

いつもヘラヘラしているリッキーが、少し険しい顔を

しているのに気付いて、直感で嫌な予感。

「ごめん、ちょっと…話してた。なに、なんか問

題？」

さすがに、カナちゃんと話してたとは言えない。

しかも、リッキーになんて余計だ。

大問題や！！と、険しい顔のままのリッキーの後につ

いて行けば、もうすぐパフォーマンスの時間を控えた

みんながいる楽屋へ。

楽屋に入るなり、何事？と、首を傾げる私にリッキー

は机に突っ伏す嘉くんを指差す。

その嘉くんを囲むように、メンバーのみんなが心配そ

うに座っていたり、立っていたり。

「嘉くん…？」

嫌なドキドキに襲われながら彼に近づけば、ゆっくり

と顔を上げ、

嘉「大丈夫だから…。」

だけど上げたその顔は、顔面蒼白といった感じで、明

らかに体調が悪い顔。

「ちょっ！どうしたの？！」

竜「今日の朝から調子悪かったみたい…。」

将「だけどリリイベ出るって、引かなくて…。」