それは紙一重 (ページ31)

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アオイ「恋は、気長にいくもんよ。」

私とは反対に、ジョッキを傾ける

アオイさんの言っていることは確かにそうなんだろう

な、と思わせる。

元彼だって、友達に誘われて顔出した合コンで知り合

った人。

付き合う前から彼の言葉一つで一喜一憂することなん

て、たぶん一度もなかったと思う。

「流れで付き合った」、この言葉に尽きる。

まぁその結果、浮気されてたんだか、はたまた私がも

ともと二番目だったのか分からない結果になったけ

ど…。

「あんまり正当な恋ってのをした記憶がないもんで…

どうしていいか分からないです…。」

時より聞こえるキャハハ！と笑うカナちゃんの声に耳

を塞ぎたくなっていたら、同じテーブルに座るトイレ

に行っていた竜太と流星が帰ってきた。

竜「なんの話し？」

「あ、おかえり。別に～。」

ごまかすように最後の一枚の牛タンを口に入れようと

したら、

流「どうせあれでしょ？これだけじゃ牛タン足りない

とかの文句。」

流星はフッと笑いながら私を見て、竜太も竜太で、そ

れだな！とか言ってニヤニヤしている。

「違いますー！君たち、年上のお姉さんをもっと労り

なさいよ、まったく…。」

竜「え？A年上だったん？」

竜「酔い潰れて寝ちゃってヨッシーに介抱される人

が、俺たちより年上？」

嘘でしょ？って顔をわざとしている二人は、絶対確信

犯だ。

「うっ…うるさいなぁ！」

アオイさんはそんな私たちのやりとりを見て、お酒も

入ってるからか、隣でケラケラ笑っている。

アオイさんもアオイさんで、こういう時は傍観してる

だけで、いいんだか悪いんだか…。

こんな時、嘉くんが隣にいてくれたらさりげなくフォ

ローしてくれるのになぁ…って言っても、嘉くんが隣

に来ることはないのに。

その時、隣に座ってケラケラ笑っていたアオイさんが

嘉くんのいるテーブルに呼びかけた。

アオイ「嘉将ー！ちょっとこの子、また酔い潰れたら

困るから、少し外の空気吸いに行かせてやってよ。」

「えっ？！ちょっ、大丈夫ですってば！！」

アオイさんの腕を掴んで、慌てふためく私。

嘉くんはというと、隣のテーブルで一瞬目を大きくし

てたけど、スッと立ってこっちに来るなり、

嘉「世話の焼けるマネージャーですね、ほんと。」

フフッと笑う嘉くんだった。