それは紙一重 (ページ3)

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その後、パフォーマンスを終えた

彼等が帰り支度をしている中、竜太が

鞄に荷物を詰めながら提案する。

竜「この後さっ、久しぶりにみんなで飯行かね？」

力「いーねぇ！行こ行こ！！」

未「確かこの辺に、焼肉屋あったはず。」

将「それって、ランペ兄さんたちがよく行く所じゃな

かったっけ？」

流「たぶんそれっしょ。この前壱馬さんたちも行った

って言ってた。」

利「じゃ～そこにしよ～。お腹すいちゃったよも

う。」

そんな会話を耳にしながら、私も荷物をまとめて思

う。

ほんと仲良いなぁ、みんな。

実は裏では仲悪かったり、ビジネス関係ってだけのグ

ループなんて、腐るほど見てきた。

だけど、この子たちは違う。

もちろん、時にはぶつかり合うことはもある。

けれど、それは決してくだらないことではなくて、目

指すべき場所が同じ彼等には必要不可欠なものなの

だ。

最後の荷物である携帯を手に取った時、

嘉「え、Aも行くでしょ？」

リュックをしょいながら、当たり前のことのように聞

いてくる嘉くん。

「えっ？！でも今日はちょっと…、」

その先を言いそうになって、口をつぐむ私。

本当はこの後、あの人と会う予定だった…。

だけどその予定は白紙なわけで…、だからという言い

方も変だけど、なんとなく気が乗らなかった。

彼氏に会いたいのに会えない、その現実を突きつけら

れているような気がして…。

「…せっかく誘ってくれて悪いけど、今日は帰

る…。」

竜「んだよ、そんな浮かない顔して。例の彼氏にデー

トでもすっぽかされたのか～？」

ニヤニヤしながら言う竜太をギロっと睨めば、

竜「おいおい、まじかよ…。苦笑」

「どーせ、すっぽかされた寂しい女ですよ！！」

そう言ってオーバーな動きで、鞄に携帯を押し込む。

嘉「行こうよ、A。」

声のする方を見れば微笑んでる嘉くんと、その後ろに

は早く行こうって顔をしているみんなが、ドアの前に

立っている。

「ちょっ、ちょっとだけだからねっ！？」

素直になれない私は、勢いよく鞄を肩にかけて、みん

なを追い越して、楽屋を出た。