それは紙一重 (ページ20)

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「最後に…私が七人のマネージャーを

させて頂いてます、AAと

申します。」

軽く下げた頭を上げたと同時に、

カナ「みなさんより年下でご迷惑おかけすることもあ

ると思いますが、こちらこそよろしくお願いしまぁ

す！」

今、その「年下」っていうワード必要だったかな？

ピチピチの若い子ですからアピールか…？

いやいや、考えない考えない！

これじゃまるで、嫌味ババァになってしまうよね。

アオイ「それじゃカナ、早速ヘアメイク入って。」

カナ「はぁ～い！」

そうこうしている間に、アオイさんたちが持ち場に戻

るや否や、

力「めっちゃ可愛くない？」

竜「なっ？！ヤバイな！！」

ムードメーカー二人が、小声で騒ぎ出す。

そんなこと言ってないで、早く着替えてっ！と、二人

のお尻を叩くように急かせば、お～怖いっ！って着替

える場所へ逃げて行った。

「まったく、もう～…。」

嘉「転んだの、大丈夫？」

鞄の中から手帳を出そうしたら、後ろから嘉くんが苦

笑いで寄って来た。

「えっ？！あっ…うん、大丈夫！こんなのへっちゃ

ら、へっちゃら！！」

嘉「ふふっ。なら良かったけど。」

口に片手を添えてクシャッて笑う顔に、胸がキューン

となる。

嘉「Aが怪我していなくなったら、困るんだから

に気をつけてよ？」

「は…はい…。」

それって…どういう意味で困るの…？

いなくなったら、寂しいとか思って言ってる…？

嘉くんの一語一句に、期待してしまう。

顔が赤くなっていくのがバレないように、下を向いて

いたら、

嘉「…やっぱり痛かった？」

と、顔を覗き込まれたので、私は余計に焦る。

「ちっ、違う違う！」

嘉「なら足、見せて？」

また一歩近寄って来るので、私の心臓はもう破裂しそ

うだった。

「だだだ、大丈夫だからっ！ほんとに！！」

いつも優しい嘉くんだけど、なんだか今日はその優し

さが私の心臓を壊してしまいそう…。

後退りした時、鏡台の方から嘉くんを呼ぶ高い声が。

カナ「嘉将く～ん！ちょっとこっちに、いいです

か～？」

嘉「…あ、はい。今行きます。」

ニ、三歩歩き出した嘉くんはくるりと振り返り、いた

ずらな顔で言う。

嘉「足元ちゃんと見てね？」

「余計なお世話だっつーの！」

私は自分の気持ちを気づかれないように、強がった。