それは紙一重 (ページ18)

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これじゃまるで、嘉くんに恋してる

みたいじゃないか…。

いやいや、違う。

きっと嘉くんの魅力がパワーアップしただけで…。

頭をふるふる振って、またボスンッとベットに横にな

る。

寝よう！

こういう時は寝るのが一番！！

ー翌日ー

「おはようございまーす…。」

アオイ「おはよ…って、うわっ！なにその顔！！目の

下クマがすんごいけど？！」

楽屋のドアを開けるなり振り返ったアオイさんは、後

退り。

結局、無限に繰り返される悩みで眠れず、かなりの睡

眠不足で出勤の時間を迎えることになったのだ。

アオイ「ちょっと、ここ座って！もう～世話が焼ける

んだからっ。」

そう言って、鏡の前に私を座らせたアオイさんは、手

際良く私の目の下を何度も軽く叩く。

「ありがとうございます…、クマ消し…。」

アオイ「ただの寝不足には見えないけど？」

私の顔と鏡を交互に見て、今度は違う色をつけて目の

下を軽く叩く。

「…私、やっぱり嘉くんのこと好きなのかもしれない

んです…。」

アオイ「…は…？」

メイクする手を止めて、目をこれでもかって開いて鏡

越しに見てくるアオイさん。

アオイ「ごめん、そのやっぱりってのも気になるけ

ど、まずヨッシーと何が起きた？」

私は周りを見渡して、誰も近くにいないことを確認し

てから、少し声のボリュームを落とす。

「台湾のタピオカからおかしいんです…、私の心

臓。嘉くんが側にいると、これでもかってくらいうる

さくて…。」

アオイ「タピオカ？笑」

アオイさんは吹き出して笑うので、私が嘉くんにされ

たことを再現すれば、

アオイ「ははーん、そういうことね。それで落ちたわ

けね、恋に。」

「やっぱりそうですよね？！私…私…、どうしよ

う？！！こんなに早く次の恋愛なんて！！」

自分の頭を抱えて立ち上がる私の肩を、アオイさんは

ポンッと叩いた。

アオイ「恋の始まりに早いも遅いもないの。まっ、せ

いぜい頑張んなさい？ライバルは案外たくさんいるか

もね～。」

「ラッ、ライバル？！！」

立ち去るアオイさんの背中に向かって、声が裏返って

いたら楽屋のドアが開き、メンバーみんなのご登場。

一人一人、軽く挨拶しながら入ってくる中、最後の方

で嘉くんの姿が見えたので、少し息を吸い込んで挨拶

の準備を整える。